興南惜敗、4強逃す 関東一に4-5 夏の甲子園


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激戦を終え、球場に一礼する興南ナイン=17日午後、阪神甲子園球場

 【甲子園取材班】第97回全国高校野球選手権大会第12日は17日、阪神甲子園球場で準々決勝を行い、興南は4-5で関東第一(東東京)に惜敗し、ベスト4進出を逃した。

 興南は二回表にソロ本塁打で1点を先制されたが、二回裏に比嘉龍寿の犠牲フライと仲響生の適時二塁打で逆転に成功した。四回までに再びリードを許したが、七回に城間楽人の適時打で試合を振り出しに戻した。
 興南の先発・比屋根雅也は毎回三振を奪う力投を見せたが、九回表に2ラン本塁打を許して勝ち越された。興南は九回裏に1点を返したが、わずかに及ばなかった。

◆比屋根、被弾も悔いなし/毎回の13三振
 興南の2年生・比屋根雅也の147球目はベストボールだった。3―3で迎えた九回表2死二塁。打席には関東第一のオコエ瑠偉。狙い通りの内角膝元、力いっぱいの直球を振り抜かれ、左翼席に運ばれた。
 土壇場で2点勝ち越し弾を食らい、一塁側アルプス席の「比屋根コール」は悲鳴に変わった。比屋根はうつむきかけたが、またすぐに前を向いた。「一塁は空いていたが逃げるつもりはなかった。悔いはない」。きっぱりと言い切った。
 県大会防御率0・89を誇る左腕が、甲子園3戦目にしてその真価を発揮した。「ここまでチームに迷惑を掛けた。点を与えないつもりで投げた」とエースのプライドをたぎらせた。
 ぐっと体をひねり、極端なインステップから投げ込む。全国にも類のない個性的なフォームで関東第一の強力打線から九回2死まで毎回の13奪三振。一歩も引かなかった。
 そして九回。ピンチの場面でオコエを迎えた。ここまで内外を投げ分け、4打席無安打2三振に打ち取っていた。オコエの素振りから「内角狙いは分かっていた」が、バッテリーは一番自信のある球で勝負にいった。
 それを見事に打ち返され「相手の実力が上だった」と比屋根。「また借りを返しに来る。先輩の分まで上に行けるように」。まだあどけなさの残る顔に闘志がともった。(荒井良平)