譜久里凱旋、悲願達成 世界マスターズ陸上男子400R金


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盛大な出迎えを受け、金メダルを手に笑顔の譜久里武(中央)=18日、那覇空港(金城実倫撮影)

 16日にフランスのリヨンで行われた「第21回世界マスターズ陸上選手権」の40~44歳(M40)クラス400メートルリレーで、譜久里武(44)=那覇市=らで編成された日本チームが金メダルを獲得した。

18日に沖縄へ凱旋(がいせん)した譜久里。自身が主宰する陸上クラブ「アスリート工房」の仲間や関係者約60人に祝福され、悲願達成の喜びをかみしめた。(大城周子)
 ほかのメンバーは元十種競技日本記録保持者でタレントの武井壮や、国内のマスターズ陸上をけん引する石黒文康、渡辺潤一で、譜久里は2走を務めた。2013年の世界マスターズM40クラス100メートルで譜久里が2位、武井が4位に入ったのが始まり。譜久里が「世界記録樹立」を目標に呼び掛けて結集し、昨年6月の沖縄マスターズ選手権ではアジア記録と日本記録を更新する42秒25をマーク、世界記録の42秒20に肉薄した。
 普段は離れた土地で暮らすが、昨年から計3回のレースを走り「実戦は一番積んできた」と自信を持って本番を迎えた。会場のトラックが日本のものより軟らかく記録は出にくいと判断し、攻めて記録を狙うより確実なバトンパスを心掛けた。優勝候補のイギリスなど強豪国を抑え、2位のフランスに0秒56もの差をつける42秒70で圧勝。アンカーの武井が優勝のゴールに飛び込んだ後、メンバーは抱き合い、涙し、叫んで喜びを爆発させたという。
 2年間にわたって4人がそれぞれ準備を怠らなかったからこそたどり着いた「世界一」の場所。けがに悩み、周囲の期待への重圧もあった。譜久里は「小さな積み重ねは必ず大きく変化する。いい仲間に恵まれ世界一を取れたことは今後の人生の糧になる」と言う。この日空港で出迎えた仲間を前にあいさつに立った。「僕の夢は続く。今度は来年の世界マスターズで100メートルの世界チャンピオンを目指す」。45歳で個人種目の金メダルへ、新たな挑戦にその瞳は真っすぐだ。

<用語>世界マスターズ陸上競技選手権大会
 世界マスターズ陸上競技協会が2年に1度開催してきた大会で、来年からは偶数年開催となる。35歳以上の選手が5歳刻みのクラスに分かれて競い合う。参加に必要な記録の設定や選考会はない。