日本軍の降伏文書 公開 沖縄市が終戦70年展


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 【沖縄】沖縄市史編集担当は10月4日まで、戦後70年の特別企画展「降伏調印・終戦70周年」を市中央の市戦後文化資料展示室ヒストリート2で開催している。1945年9月7日に沖縄市の前身の旧越来村森根(現嘉手納基地内)で調印された日本軍の沖縄戦降伏調印文書6枚のうち、加藤唯雄海軍少将が持ち帰った原本の複写を初めて公開している。

 降伏調印文書6枚のうち、3枚は日本側代表として調印した第28師団長の納見敏郎中将と高田利貞陸軍少将、加藤少将の3人が持ち帰ったとされるが、所在は不明だった。
 今回展示した加藤少将の文書は、防衛省防衛研究所が所蔵する原本の写しになる。
 市史編集担当は、米国立公文書館で保管する米軍側原本の存在は把握していたが、日本軍側の原本は初めて発見した。
 編集担当の松川聖子さんは「市の調査で初めて日本軍側の文書が見つかった。今回の発見で文書はリーガル判の厚手の丈夫な紙を使用し、受理した米軍司令官が青いインクで署名したことが分かった」と説明する。
 企画展では、降伏調印式で日米両軍の代表者が署名している様子や、会場周辺を戦車や自走砲、大勢の米兵が取り囲む様子が分かる大型写真を展示。米軍が撮影した式当時の映像も見られる。調印式中に米陸軍楽団が演奏した「年老いた灰色の雌馬」を、館内のBGMとして流している。
 そのほか「沖縄市の沖縄戦」のコーナーでは、米軍が戦中戦後、市内に整備した収容所や米軍基地の写真を展示したほか、市出身戦没者の特徴が一目で分かるデータを紹介している。

加藤唯雄海軍少将が持ち帰った沖縄戦降伏調印文書の複写
沖縄戦降伏調印式の様子を紹介した大型写真展=11日、沖縄市中央の市戦後文化資料展示室ヒストリート2