陸上競技の第70回九州選手権大会第2日が22日、県総合運動公園陸上競技場で行われ、女子400メートルリレーで中部商高が46秒93で優勝した。リレーメンバーの岩永梨沙(中部商高)は女子100メートルでも頂点に立ち、2冠を達成した。
男子十種競技は下地歓喜(首里高―鹿屋体育大)が6452点で制し、県勢初優勝を果たした。男子ジュニアは5000メートルを大城直也(糸満高)、走り高跳びを友利響平(宮古総実高)がそれぞれ制した。
◆女王の貫禄 有終飾る
女子400メートルリレーで県内、九州最強を誇る中部商高の4人にとって、特別な46秒間だった。タイムによっては日本選手権出場の可能性が残るものの、これがこのチームで臨む最後のレース。決勝の前、1走・比屋根愛夏は2走・岩永梨沙の手のひらに「ラスト、楽しんでいきましょう」とフェルトペンでメッセージを書き込んだ。
比屋根がスタートダッシュを決めると、バトンを受けたエース岩永が後続をぐんぐん引き離す。3走の具志堅美織が巧みなコーナーリングで差を広げ、アンカー砂川ゆりは危なげなくリードを守り切る。女王らしい、いつも通り貫禄のレースで有終の美を飾った。
具志堅は「最後だし勝たないとというプレッシャーもあったが、このメンバーでできると思ったら緊張しなかった」。岩永は「みんな笑顔で終われて良かった」と笑った。砂川は「楽しかった。最後に46秒台を出せたのは良かったけど県高校記録を塗り替えたかった」と少し残念そうな表情を浮かべた。
終始、笑顔だった3年生と対照的に唯一の2年生・比屋根はレース後、涙を流した。「来年は新しいリレーチームで全国総体の決勝に進んで、県高校記録もつくる」。先輩たちから受け取ったバトンを、大切につなぐ。(荒井良平)
◆下地 十種県勢初V 転向2年余り 才能開花
100メートル、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400メートル、110メートル障害、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500メートルの10種目でポイントを競う男子十種競技。2日間にわたる死闘を制したのは陸上を始めてわずか2年余りの下地歓喜(首里高―鹿屋体育大)だった。県勢初の九州選手権制覇を果たし、有り余る才能と身体能力を見せつけた。
中、高はハンドボール部。大学から「興味があった」十種競技を始めた。それまで陸上は授業でやる程度。「想像していたよりずっと難しくて始めてから1、2年はずっとうまくいかなかった」という。
しかし練習に積極的に取り組み、技術を貪欲に吸収。5月の九州学生対校で初の頂点に立つなど「3年目に入って報われるようになってきた」。日々の努力が実を結んだ。
今大会1日目は全て目標とするスコアに届かず、終了時点で2位。2日目、得意とする棒高跳びで巻き返すと、そのまま逃げ切った。
9月の日本学生対校(全日本インカレ)で入賞を狙う。「ハードルなど技術の必要な種目がまだまだ。苦手種目でも得点を伸ばしたい」。伸び盛りの大学3年生はさらなる成長を誓った。
(荒井良平)