辺野古集中協議、議事録作らず 国と県「記者に内容説明」


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 米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐる県と政府の集中協議で、県と国の双方が現段階で議事録や議事概要を作成していないことが分かった。双方とも非公開の協議後に幹部が記者に内容を説明していることを理由に挙げている。

県内部からは「議事録を作成することで率直な意見交換が難しくなる」との見方もあり、議論を呼びそうだ。
 県関係者は「『事務方の不在』は県と国で合意していること。情報公開請求により議事録が表に出ることで率直な意見交換ができない可能性もある」とする。
 一方、国側は「協議後の記者対応で、知事も菅長官も情報発信を行き届かせている」と説明した。
 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故を受けて政府が設置した会議では、議事録の未作成問題が発覚し、当時の野田佳彦首相が「議論の全体が国民に伝わらなかった部分がある。真摯(しんし)に反省したい」と陳謝している。
 情報公開制度に詳しい前津栄健沖縄国際大教授は「今回の集中協議は歴史に残る出来事であり、議事録や議事概要を残さなければ検証ができない」とし「作成した上で『協議中の現時点では出せない』という説明ならばまだ理解できる。しかし今回の対応は国民の知る権利や情報公開法・条例の精神、行政の説明責任に反しているのではないか」と指摘した。
(中里顕、池田哲平)