「沖縄に危険」批判相次ぐ 安保法成立、那覇で抗議集会


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シールズ琉球の小波津義嵩さん(手前右)と共にコールで安保法成立に抗議する参加者ら=19日午後5時50分、那覇市の県民広場(金良孝矢撮影)

 安全保障関連法が19日、成立した。集団的自衛権の行使が可能となることから“戦争法案”と称される法案が強行採決されたことに、県内からは「暴挙だ」「戦後70年守ってきた平和が崩される」との批判が相次いだ一方、「将来的には必要になる」と理解を示す声も上がった。県内の学生グループ「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」は那覇市で抗議集会を開き、「まだまだ諦めない」と取り組みの継続を呼び掛けた。

「子どもたちや孫にどう説明したらいいのか」。沖縄市の當山孝信さん(70)は肩を落とした。法案の審議が始まってから不安な気持ちで報道を見守っていた。「民主主義なのに多数決で決めてしまった。暴挙という印象だ」
 名護市の農業、前川大輝さん(27)は、安全保障関連法案について「中国の脅威が高まっていることを考えると将来的には必要になる」と内容には賛同する。だが「議論が全然できていなかった。米国に言われてやったような感じだ。今の国会では決まらない方がよかった」と眉をひそめた。
 沖縄に米軍基地が集中することで戦争に巻き込まれるとの不安の声も上がる。大宜味村の主婦島袋きよみさん(63)は「戦争をはじめ世界的に危険な事態が発生した場合、国内のどこよりも沖縄がその危険を強いられることになる」と強行採決を批判した。
 戦争放棄をうたった憲法9条が変えられようとしていることへの危機感も根強い。障がい者をサポートする就労支援センター「野の花」理事長の朝妻彰さん(66)=八重瀬町=は「日本は憲法9条の精神を積極的に発信して世界と向き合うべきだ」と強調した。
 南城市の主婦山城みつ子さん(61)は「戦後70年間守ってきた平和を、短時間で数の圧力で崩してしまうのは横暴だ。政府は国民を見ないで政治をしている」と表情を曇らせた。
 国境の島からも不安の声が上がる。石垣市の金成晴子さん(63)=自営業=は「法案成立と同じように八重山への基地配備も有無を言わさず強行してくるはずだ。平和のためと言いながら何かあれば国境の島々が犠牲になる状況に追い込まれる」と肩を震わせた。