安保法成立 沖縄への影響 訓練増加、尖閣緊張も


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安保関連法成立で懸念される沖縄への主な影響

 19日に成立した安保関連法は沖縄へもさまざまな影響を与えることが懸念されている。基地周辺住民や有識者らの話を通じてポイントを探った。
 安保関連法は、自衛隊の米軍支援範囲を地球規模に広げることにした4月改定の日米防衛協力指針(ガイドライン)の法的根拠となる。

さらに自衛隊装備を守る武器使用を認めた「武器等防護」の対象は他国軍にも広がり、米軍と自衛隊の一体性が高まる。そのため合同訓練が増加するとの指摘がある。
 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の滑走路北側に位置する新城区の與那覇政勇自治会長代行は「普天間飛行場にも自衛隊機が飛来する可能性があるのではないか」と基地負担の増加に懸念を抱く。「キャンプ・ハンセンなどでは自衛隊との共同使用がすでに始まっている。騒音被害や危険性は増すことになり、決して認めることはできない」と語気を強める。
 また米軍基地に自衛隊を常駐させ、施設運営などを一体化する案が何度も浮上しており、一体性の進展に伴って米軍基地が固定化される危険性もある。さらに成立過程の政府の強硬姿勢が名護市の辺野古新基地建設問題でも貫かれるという疑念の声も飛び交う。
 一方、我部政明琉球大教授(国際政治学)は尖閣諸島の領有権問題で安倍政権が対中国に強気の姿勢が取りやすくなったことを危惧する。「安保関連法により日米関係が強化されたことで政権に『米国が守ってくれる』という安心感が生まれる」とした上で、「今後の日本の変化により中国を刺激する可能性がある。地理的に中国と近い沖縄が軍事的な緊張にさらされることにつながりかねず、政権はさらに慎重な姿勢が求められる」と語る。