社会

廃止「諦めない」 安保法公布 沖縄県内関係者に聞く

 安全保障関連法は9月30日に公布されたが、沖縄県内の関係者からは同法の廃止を求める声が上がっている。前嘉手納町長の宮城篤実さんは「戦争に自ら参加するような法は許されない」と批判、沖縄戦を体験した弁護士の知花孝弘さんは「沖縄戦で得た教訓を否定することだ」と強調した。

◆史上最悪の内閣だ/宮城篤実さん 前嘉手納町長


宮城篤実さん

 9月14日に参議院で可決された安全保障関連法をめぐり、前嘉手納町長で現在辺野古基金の共同代表を務める宮城篤実さん(79)は「集団的自衛権の行使を可能にし、戦争に巻き込まれるのでなく『自ら参加する』法律だ。許されない」と痛烈に批判した。名護市辺野古への新基地建設強行にも触れ、「今の内閣は社会に対する認識が危うい。史上最悪の内閣だ」と憤った。

 沖縄戦の経験から、戦時下で軍人は一人の人間でなく、あくまでも軍隊として行動するものだと考える。「国家の使命に基づいた行動は、決して国民の命を守らないと県民は肌で知っている。先輩たちが人間が人間でなくなる様子を訥々(とつとつ)と語る姿は多くの記録に残っている」と話す。

 嘉手納町長時代、約300億円規模の嘉手納町ロータリー地区の再開発事業を手掛け、基地騒音を体感するよう沖縄防衛局の移転を実現させた。「梶山静六、野中広務両元官房長官とはじっくり時間をかけて話した」。一方、現在の政府には「以前に比べ見識のなさが際立つ」と批判する。

 辺野古問題では「社会が変わりつつある」とみる。「知事が国連演説で世界に訴えたことで、国は強行できなくなった」と強調。「知事は『造らせない』と断言しているが、長い闘いになるだろう」と表情を引き締めた。
(清水柚里)


◆非戦の誓い無効に/知花孝弘さん 弁護士


知花孝弘さん

 7月に沖縄弁護士会が行った安全保障関連法への反対を訴えるデモ行進。参加者中、最高齢だった弁護士の知花孝弘さん(80)は「80年の人生の思考・思想の根底には、沖縄戦がある」と強調する。

 10歳で本島北部の山中を逃げ回る経験をした沖縄戦。その犠牲が、平和主義を掲げる現憲法をつくり上げたとの思いがある。「平和憲法を踏みにじる法は沖縄戦の教訓を否定すること。許せない」と怒りを隠さない。

 「憲法順守義務がある国会議員が非戦の誓いを無効にした」。名護市辺野古への新基地建設が強行される現状も重ね、戦争の足音を聞いている。

 若者が安保法案に反対の声を上げている現状には「心強い」と笑顔を見せる。理事長を務めた経験のある興南学園の生徒に、憲法やひめゆり学徒隊などの本を贈り続けている。「平和な生活を保つため、悲惨な戦争や憲法の意味を知ってほしい」からだ。

 「強行採決した現政権。極端に言うと独裁だ。ただこの政権を選挙でつくった国民にも責任はある」というが、「絶対に希望を捨ててはいけない」と繰り返す。「主権は国民にある。諦めたらなんで憲法を勉強してきたか分からなくなる」

 見据えるのは安保法の廃止だ。「次の選挙で法案に賛成した議員を国会に送らないよう、声を上げないといけない」と力を込めた。
(大嶺雅俊)









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