【ブラジル】宮城松成さん死去 出版、文筆通し発展貢献 93歳


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 ブラジル沖縄文化センター顧問の宮城松成さんが6月23日、サンパウロ市内の病院で死去した。21日に大腿(だいたい)骨を骨折。その手術中に心臓まひを起こし、息を引き取った。93歳。告別式は24日午後4時から、市内サンパウロ墓地で執り行われた。

 宮城さんは、1914年、本部町瀬底島生まれ。37年、23歳の時にブラジルに移住。書店、印刷会社、新聞社『南米タイムス』などを経営。74年から沖縄タイムス社の海外通信員として、県人会活動や活躍する県系人についての記事を送り続けてきた。1998年に『ブラジルの沖縄県人トップリーダー』、昨年は『忘れ得ぬ人々 ブラジル沖縄移民の秘話』を出版するなど、文筆活動も続けていた。
 大戦後の沖縄に、「沖縄戦災救援委員会」の一員として救援物資を送る活動を、またブラジル日本文化協会、沖縄県人会、沖縄文化センター、協和婦人会の創立にかかわるなど、日系社会や県人社会の発展に貢献した。
 沖縄文化センター顧問ならびに同資料館館長、協和婦人会相談役、また子息が経営するラジオ・ニッケイ会長でもあった宮城さんは、自宅近くの歩道で転倒するまでは、健康に恵まれ、いつもカメラを片手に県人会の催し物に顔を出していた。6月10日生まれで、93歳の誕生日を迎えたばかりだった。
 8月26日には県人会、文化センター、協和婦人会後援の出版記念祝賀会が予定されていた。会の代表世話人の山城勇さんは、「県人会の歴史をよく知っている松成さんに逝かれて、また大きな星が落ちたという感じだ。せめて祝賀会まで元気でいてほしかった。祝賀会は松成さんを偲(しの)ぶ会として行いたい」と話している。
(与那嶺恵子通信員)