【キラリ大地で】アメリカ/恵子・フェングラー・金城さん 県系中高生に「沖縄体験」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県は、2004年度に「新ウチナー民間大使」制度を設立し、496人の民間大使を認証した。制度の趣旨として第1条には、「沖縄県と世界各国地域の人的ネットワークを拡充強化し、経済、文化学術等あらゆる分野で国際交流と国際協力を推進するため(以下略)」とある。
 しかしながら、民間大使に認証されたほとんどの人たちが具体的な活動をしていないのが現状のようだ。米国の民間大使の一人は、「沖縄とアメリカの懸け橋的なことをしたいが、具体的な案もなく、時間的な余裕もないのが実情」と話す。
 そんな中、ジョージア州アトランタ県人会から選出されたウチナー民間大使の恵子・フェングラー・金城さん(55)=那覇出身=は、この夏、民間大使として沖縄の文化学術を通して沖縄のアピールに一役買うプロジェクトをアトランタの地で準備中だ。
 「昨年、娘がジュニア・スタディーツアーに参加し、貴重な経験をさせてもらった。その感動をほかの県系人の中・高校生の子息たちにも味わってもらいたい」と、恵子さんは「沖縄カルチャーサマーキャンプ」を企画した。
 さっそく沖縄県にも同キャンプのプロジェクトを提示、県からの支援を受ける運びとなった。同キャンプは、今月22日から29日の8日間、日本語の授業をはじめ、沖縄の方言や歴史の紹介、空手、柔道等の武術や書道以外に、カンカラ・サンシン(三味線)とエイサーの演舞等も行う予定だ。
 キャンプと並行して、今年初の試みとして県主催の海外県人会ホームステイ事業も、恵子さんの計らいで実現。沖縄から来る生徒らと地元の同キャンプの参加生徒らとの交流も計画されている。
 恵子さんは、「民間大使として何かをやりたかった。アトランタでの第1回沖縄カルチャーキャンプが成功するよう頑張りたい」と熱く語る。
 恵子さんは、日本企業が多いアトランタで、日本人の子供らが現地校で問題を抱えた時は、カウンセリングに立ち会い、生徒の親のために通訳も務めてきた。4年間、県人会会長として県人会活動にも貢献し、踊りの発表会のパンフレットやアトランタ沖縄県人会の記念誌の編集なども手掛けてきた。
 コンピューターを専門としていたこともあり、県人会のニュースレターをコンピューター化して読みやすく、作りやすくした。太鼓の指導者として、後継者も育てている。
 取材の日も、沖縄から来た留学生に演舞指導をしていた。7月初め、アトランタの市民マラソンに初参加し、完走を果たしたエネルギッシュな恵子さんは、まさにアトランタ県人会の「縁の下の力持ち」的存在の人である。
 (鈴木多美子通信員)