【島人の目】You Choose 選挙


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 先日、在外選挙を取材した際、日本では、告示後に候補者や政党がネットで選挙活動をしてはいけないということを知って驚いた。アメリカでは、インターネットが選挙運動の中心的役割を演じているからである。
 「ネット選挙」という言葉が登場したのは1992年の大統領選。今回、ヒラリーが「さあ、対話を始めましょう」と、自身のサイトのビデオ画面から直接、有権者に語り掛ける出馬表明を行ったことから、時代は「ネット動画選挙」なる新たなものへと移行した。
 アメリカでは、「マイ・スペース」や「ユー・チューブ」というサイトから発信されるニュースを、テレビや新聞が追いかけるという現象はもはや珍しくない。こうした旗手役を自覚するユー・チューブは、各候補者と有権者がビデオを介して交流できるサイト「ユー・チューズ’08」を開設。議論を重んじる政治風土にぴったりフィットした同サイトは、選挙戦をリードする存在となりつつある。
 政権を懸ける2大政党が勝負する場が広大なアメリカで、ネット選挙が発達したのは、いわば必然的ともいえる。
 沖縄のような地元密着型の選挙では、街頭演説で政策を訴えるのが一番有効的な方法なのかもしれないが、海外から一票を投じようと思う有権者には届きにくい。
 やっと産声を上げたばかりの在外選挙。その未来は、有権者と候補者の間にどかっと横たわる大海原をどう泳いで渡るかにかかっている。
(平安名純代、ロサンゼルス通信員)