【島人の目】「消灯の日」への行動


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 たった一人のキャンペーン努力がサンフランシスコ市を動かした。
 地球温暖化を懸念したフリーランサー、ネイト・タイラーさん(38)は、昨年の春、オーストラリア・シドニー市のレストランで食事中突然の消灯に驚いた。レストランのみならず、ダウンタウンのほとんどのライト、あの有名なオペラハウスまでが消灯していた。
 それはシドニー市が地球温暖化防止のために始めたエナジー・カット政策の一環で、午後8時から9時の1時間、最低限必要なライト以外は消す、という運動である。
 タイラーさんは「そうだ、これをサンフランシスコで実施しよう。満天の星を見よう。草の根キャンペーンを始めよう」と決心。「現在、あまりにも多くの人がエネルギーの無駄遣いを放置している、何とかしたい」と彼は立ち上がった。
 キャンペーンを始める際、彼はコネティカット州に住む弁護士でもある父親に相談した。父親は、市の有力者に会うよう勧めた。ブラック・サンフランシスコ商工会議所会頭を始め、ニューサム市長らに会った。
 やがて彼は市からのスポンサーを勝ち取り、市を挙げて「10月20日サンフランシスコ消灯の日」とするようこぎつけた。その日はゴールデンゲートブリッジ、アルカトラス島のデコレーションは消灯し、ほとんどすべてのレストランはキャンドル・ライトに変える予定だという。
 タイラーさんは「やがてはアメリカ全土に広がりを見せてくれるようになる」と意気込んでいる。世界中の人々が一考に値することではないか。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)