【島人の目】少年の火遊び


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 南カリフォルニア一帯に発生した大山火事は多くのつめ跡を残し、約1月後にようやく鎮火した。火災が発生するたびに放火が話題となる。サンタ・クラリータ方面の火事で21軒の家屋、3万8千エーカー(約154平方キロメートル)を焼き尽くした。
 シェリフ取調官の起訴状によると、火の元は10歳の少年が裏庭で枯れ草を燃やした「火遊び」が一因で、少年は「マッチで遊んでいたら、誤って火事になってしまった」と認めていた。しかし地方検事は証拠不十分で「故意ではない」と不起訴にした。
 検事は「少年は刑事責任を免れたが、少年の家族は民事裁判で損害賠償訴訟が起こされる可能性が残されている。しかし、金額があまりにも膨大過ぎてその一部なりとも負担することは困難であろう」と、語っている。
 最近のロサンゼルス・タイムズは、州の消防局の談話として「12歳以下の少年がマッチで火を付け、それが大火事に発展した場合、放火ではなく『火遊び』とみなされる」と説明している。
 2005年に州内で1467人が放火犯として逮捕されたが、52%は少年。連邦捜査局(FBI)の03年度の報告によると、アメリカ全体では50・8%が15歳以下、うち3%が10歳以下の少年であった。
 たき火さえ許可されていないこの乾燥地帯で、大火災になりかねない「少年の火遊び」は、お互いの心掛け次第で激滅できるはずだ。保護者の毅然(きぜん)とした態度が必要とされている。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)