【島人の目】ロマンスの終えん


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 ロサンゼルス市のアントニオ・ビヤライゴサ市長とTVニュースの人気女性キャスターのミヤサラ・サリナスさんのロマンスはちまたをにぎわした。
 メキシコ移民の子として貧困地帯に生まれたビヤライゴサ氏は1年半前に現職市長を破り当選。初のヒスパニック系市長として市民の期待も大きかった。
 その市長が昨年6月、20年連れ添った妻コリナさんに、サリナスさんと深い関係に陥ったので別れたいと持ちかけた。市長の元の名はビヤラで妻の名ライゴサを一緒にしてビヤライゴサにした。市長は離婚後も名前はそのままにした。
 一方、サリナスさんは当地のヒスパニック系テレビ「テレムンド52」の敏腕キャスターとして人気絶頂期にあった。容姿端麗な独身で、彼女が作成したリポートが市長の演説草稿にも使われた。
 だが、市長が2人の関係を暴露して以来、サリナスさんは2カ月間職務停止を命じられ、その後ロスから遠くリバサイドへ転勤を通告された。サリナスさんは出勤せず、辞職をした。その後、市長はロス市民に謝罪メッセージを発表、市政への専念、子供たちの養育に献身を約束した。2人のロマンスは「終わり」を告げた。
 市長は政治家としての原点に戻り、選挙時の公約を優先したが、11月26日付のロサンゼルス・タイムズは民主党次期カリフォルニア州知事第一候補の地位はすでにうせたと報じている。
 「実らぬ恋」が残したものは、市長の政治家としての信頼度の失墜、人気キャスターのキャリア上の大打撃あった。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)