【島人の目】度胸をつける


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 「完ぺきな作戦を練って絶対に勝つぞ!」。冬休み明けの新学期早々、帰宅した中学校1年生の息子が鼻息荒く宣言した。話を聞くと、履修しているジャーナリズムクラスの先生が、子供たちの政治への関心を高めようとディベート大会を企画したのだそうだ。
 ディベートとは、与えられた論題に対して肯定、否定に分けられた2つのチームが議論し、説得力の優れていたチームが勝つというゲーム。資料集めから始まり、論理の構築、反論への対策に加え、「話す、聞く、理解する」という総合的な能力が要求される。
 息子たちに与えられた論題は、「カリフォルニア州はエコ電球を義務づけるべきか否か」。ディベートでは、「肯定派」として義務付けの根拠を示すため、放課後は図書館に集まり新聞記事や専門書などを参考に、熱心に作戦会議を開いている。
 アメリカに来たばかりのころ、子供でも人前で堂々と自分の意見をいうのに驚いたが、それも教育のなせる業。小学校低学年では、自分の意見をみんなの前で発表する「ショー&テル(みせて話す)」。高学年では、新聞を教材に、記事に対するそれぞれの見解をみんなで議論する科目などがあり、それらを通じて自分の意見を確立し、他人の考えを尊重する大切さを学んでいく。
 大統領予備選が日増しに盛り上がるアメリカはまさに討論ブーム。息子チームも「度胸をつける」を合言葉に、歴代大統領の名スピーチをみては話し方を研究し、闘志を燃やしている。どう結果が出るか。楽しみだ。
(平安名純代、ロサンゼルス通信員)