【島人の目】厳しい米裁判制度


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 豊見城市の豊崎干潟でクロツラヘラサギがくちばしに釣り糸が絡まった状態で保護され、放鳥された心温まるニュースに安堵(あんど)感を覚えた人は多いであろう。それとは対照的にアメリカのプロゴルファーが渡り鳥のタカをゴルフボールで打ち落とし、殺したとして裁判にかけられようとしている。

 昨年12月12日、フロリダ州オーランドのゴルフクラブでの出来事。39歳の米プロゴルフ協会(PGA)プロのトリップ・アイゼンハワーは、アメリカ全国ツアー「プロの腕の見せ所」と題したビデオ撮り試合に参加した。
 ショットをしようと構えると渡り鳥のホーク(タカ)がうるさいので、威嚇ショットをしたら、タカは一時遠くへ飛んでいった。次のショットの時、またしても近くで鳴き立てたので、「今度こそやっつけてやる」と意気込み、タカのいる方向へ強烈な一打を放った。ショットは1羽のタカに見事命中し、鳥は鼻血を出して死んだ。
 このタカは「保護鳥」であった。アイゼンハワーは「威嚇のショットで殺すつもりではなかった」と弁明しているが、同僚は彼に好意的な証言をしていない。埋葬されたタカは掘り起こされ、証拠物件として冷蔵された。裁判となり有罪になれば1年2カ月の収監と1500ドルの罰金刑が科されると、「ロサンゼルス・タイムス」は伝えている。
 27年前の「ロス疑惑」の再審といい、アメリカの裁判制度の厳しさを垣間見た思いがしたが、沖縄での米兵が犯した事件の裁判は何かしら厳正さが足りないように思えてならない。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)