【島人の目】子どもの送迎


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 フランスの小学校では、低学年は親、あるいはベビーシッターが登下校時に付き添うことになっている。午前8時半に、学校の門が開くので、その時間に間に合わせ、子供を連れていく。
 昼食はそれぞれの家庭に戻るか、学校の食堂で済ませることになっており、食後は簡単に教室には戻れない。教室が使われていないときは、いつも鍵がかかっている。子どもを広い校内に1人残すこともしない。

 沖縄の友人あての手紙に、ベビーシッターのバイトのことを書いた。神戸での連続少女殺人事件のあとで、「日本では、児童の送り迎えをするようになったことがニュースになったのに、フランスでは普通なのね」との返事がきて、フランスにいた私はそれに驚いた。
 栃木県で小学校1年の女の子が連れ去られ、殺害された事件で、女の子が通っていた小学校は児童数が少ないために、パトロール指定の対象校ではなかったという報道を読んだ。しかし、通学区域は広大。予算や人員確保などいろんな行政上の問題があるのは分かるが、子供の数ではなく、もっと多角的な見方ができなかったのだろうか。
 親はもちろん、地域の大人が、それこそ、「体を張って」子供たちをこういう犯罪から守るしかないのではと思う。悲しいことだが、子どもを1人で、外に出すことは無謀なことに等しいようだ。
 小学生だった私と妹が、保育園へ弟を迎えに行っていた時代のことなど、夢のような話である。
(又吉喜美枝・フランス通信員)