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しまくとぅば会話、本に 国吉さん出版 「文化の要」普及願い 県内学校に配布へ


しまくとぅば会話、本に 国吉さん出版 「文化の要」普及願い 県内学校に配布へ 出版したしまくとぅばの会話集をPRする県沖縄語普及協議会の国吉朝政会長(右)と高平尚事務局長=13日、那覇市泉崎の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 県沖縄語普及協議会会長の国吉朝政さん(83)=那覇市=がこのほど、しまくとぅばの会話集「ためになる首里語ゆんたくふゐんたく」を出版した。辞書のように単語の意味を伝えるのではなく、主に日常会話を紹介する。「普段からしまくとぅばを使っている人でないと作れない本だ」と自負する。

 「今(なま)、世間(しきん)騒(さわ)みかちょーる所(とぅくる)ぬあしが、汝(いゃー)や行(っん)じー(今、ちまたを騒がせている所があるけど、あなたは行った?)」「ライカムなー、いー先日(くねーだ)ぬ連休(やしみ)に長男(ちゃくし)家族(やーにんじゅ)とぅ一緒(まじゅん)行じゃさ(ライカムね。先日、長男の家族と一緒に行ったよ)」など、紹介する会話はすぐに使えそうなものばかりだ。
 会話集のほか「一語集(ちゅくとぅばなあ)」「重に語(くとぅば)」「同音異義語」も収めた。

 国吉さんは子どもの頃から家庭でしまくとぅばを使い、今も日常で使う。孫やひ孫も国吉さんのことを、標準語が崩れた「おじぃ」ではなく、しまくとぅばで「『たんめー』さん」と呼んでいるという。

 昨年9月18日の「しまくとぅばの日」に合わせ、本紙がしまくとぅばの収集に取り組む国吉さんを取り上げたところ、JA共済連沖縄が支援を申し出て出版につながった。400部を発行し、県内の学校に配る。
 国吉さんは「しまくとぅばは芝居や琉歌にも使われ、文化の要だ」と強調し、日常での普及を願った。 (稲福政俊)

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 県沖縄語普及協議会は17日午前10時~正午、那覇市の県立博物館・美術館講堂でしまくとぅばが学べるイベント「沖縄語ありんくりん」を開催する。入場無料、事前申し込み不要。
 言葉を解説するほか、国吉さんらしまくとぅば話者と参加者が意見交換し、継承の方法を探る。問い合わせは同協議会の高平尚事務局長、電話090(4581)0395。