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「アリランの碑」15周年で集会 宮古島 慰安婦の悲惨な歴史継承誓う


「アリランの碑」15周年で集会 宮古島 慰安婦の悲惨な歴史継承誓う アリランの碑建立15周年記念集会で、戦争による性被害や慰安婦への思いを語る参加者ら=10日、宮古島市上野野原
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【宮古島】「日本軍『慰安婦』問題を考える宮古の会」は10日、太平洋戦争中に朝鮮人慰安婦が宮古島に連行された歴史などを伝える「アリランの碑」の建立15周年を記念して、同碑がある市上野野原で集会を開いた。韓国や県内外の慰安婦問題の研究者や市民団体、地元住民らが参加し、戦争に巻き込まれ悲惨な経験をした慰安婦の女性に思いをはせ、平和への思いを新たにした。
 同碑は野原出身の与那覇博敏さん(90)が所有する土地に建てられた。与那覇さんは「慰安婦の女性たちがここにいたことを忘れないことが大切だ」と土地を提供した理由を語る。
 日韓共同「日本軍慰安所」宮古島調査団が戦争体験者への聞き取り調査などを実施し、市内に少なくとも18カ所の慰安所があったことが分かっている。同碑の近くにも慰安所があったという。
 戦争体験者への聞き取り調査を実施し、建立の運動にも携わった上里清美さんは「同じような過ちを繰り返さない、という思いを持った人たちが協力してアリランの碑を建てた。今後も継承していきたい」と強調した。
 日本史や女性史などを専門にしている大阪大学の藤目ゆき教授は「強制連行され、見知らぬ土地でひどい目にあった慰安婦の女性たちのことを、この土地の人が記憶し、思いながら碑を建てた。このような場所から平和が生まれるのだと思った」と語った。
 集会の開催に先立ち同日、市未来創造センターで「宮古島『慰安婦』の記念碑建立15周年から考える宮古の過去と現在」と題したイベントが開かれ、戦争がもたらす性被害などを話し合った。 (友寄開)
アリランの碑建立15周年記念集会で、戦争による性被害や慰安婦への思いを語る参加者ら=10日、宮古島市上野野原