「虎瀬」改め「虎頭(とぅらじ)公園」に 地域で親しまれた名称に改称 沖縄・首里赤平町


「虎瀬」改め「虎頭(とぅらじ)公園」に 地域で親しまれた名称に改称 沖縄・首里赤平町 名称が「虎頭公園」に変更された銘板
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 【那覇】那覇市首里赤平町の「虎瀬(とらせ)公園」が8月、「虎頭(とぅらじ)公園」に名称を変更した。変更を受けて9月10日、首里自治会長連絡協議会と赤平町自治会(いずれも金城敏雄会長)、虎頭を守る会(玉那覇朝子会長)が、赤平町自治会集会所で報告会を開いた。玉那覇会長は「『虎頭』の二文字に、歴史や言語など先人たちの思いが詰まっている。うちなーびけーん(沖縄ならでは)の固有名詞を後世に残したいと活動してきた。支援してくれた方々に感謝したい」と話した。
 旧称・虎瀬公園がある丘は、虎の頭のような巨岩があったことから、地域の人々に「虎頭山(とぅらじやま)」と呼び親しまれてきた。高さ約130メートルの丘陵の一部は沖縄戦で破壊されたが、1982年に一帯が整備されて、同公園ができた。
 名称変更は、玉那覇会長による琉球新報への投書がきっかけとなった。「虎瀬公園」の名称に疑問を抱いていた玉那覇会長は2022年6月、虎頭を守る会を立ち上げ、投書した。琉球新報掲載の投書で、玉那覇会長は「虎頭」の由来や、呼称に込められた先人の思い、うちなーぐちによる伝統的な固有名詞を継承する意義を訴えた。同年10月に玉那覇会長が市へ要請したところ、担当者も投書の内容を把握しており「より多くの方々の声を聞きたい」と言われたという。
 玉那覇会長はすぐに、地元赤平町自治会と、首里自治会長連絡協議会の会長を務める金城さんに相談。金城会長は1月に赤平町自治会の緊急評議委員会を開催し、公園名改正に向け動くことを決め、3月に「虎頭山」の呼称に関するアンケートを実施。アンケートでは37自治会のうち、32人の自治会長が同山を「虎頭山」と呼んでいると回答したこともあり、名称変更に向け事態が大きく進展した。
 市も公園の名称についてアンケート調査を実施し、名称変更に賛成する意見が多数を占めたため、名称変更を決めた。
 自身も市議時代に同公園の名称について議会で取り上げたこともある金城会長は「玉那覇会長はじめ、思いのある方々が動き、改称に至った。歴史的な名称を大切にしていきたい」と話した。
 (藤村謙吾)