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屋部中3人「眉屋私記」群読 福岡県直方市 上野英信生誕100年で


屋部中3人「眉屋私記」群読 福岡県直方市 上野英信生誕100年で 「眉屋私記」を群読して直方市の高校生と交流した名護市立屋部中3年の(前列右から)岸本朝咲子さん、古蔵こはるさん、伊差川実怜さん=8月19日、福岡県の直方市立図書館小ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 増田 健太

 【名護】名護市屋部の山入端一族(屋号・眉屋)の歴史を記した「眉屋私記(まゆやしき)」で知られる作家・上野英信の生誕100年を記念した講演会が8月19日、福岡県の直方(のおがた)市立図書館であり、名護市立屋部中学校3年の3人が「眉屋私記」の群読を披露した。

 同図書館は、上野英信の住居兼活動拠点だった「筑豊文庫」を再現した「筑豊文庫資料室」を2020年に開設している。同図書館が、文学碑除幕式への参加などの活動を知って屋部中から招待し、伊差川実怜さん、古蔵こはるさん、岸本朝咲子(あさこ)さんが訪れた。3人は約70人を前に登壇し、序章「嘉例吉の渡波屋(とわや)」を朗読した。

 群読披露に向けて、公園の高台になっている渡波屋などゆかりの地を訪ねるなどして表現を深めていった。群読では、作品に出てくる「だんじゅかりゆし」の歌をパーランクーを使った踊りも交えて披露した。会場からは「胸が締め付けられる思いだ」「歌を聴いて涙が止まらなかった」といった声が上がった。

 屋部地域の人たちも事前学習に協力し、歌の指導もした。文章の読み解きなどを教えた元国語教諭の比嘉ゆり子さん(64)は「難しい文章もあるが、みるみる上達していった。身近にある文化を後の世代につなぐ気持ちが生まれるといい」と話す。

 伊差川さんは「近くの公園にこんな意味があったんだと勉強になった。終わった後、ありがとうと喜ばれ、人のためになったんだと実感した」と話した。

 講演会は「伝えていく沖縄・筑豊 次の世代へ希望をこめて」と題され、現地の高校生も参加した。

(増田健太)