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戦伝える「二代目」、成長願い御願式 台風で倒れた「ニーバンガズィマール」を植え替え 沖縄・伊江 


戦伝える「二代目」、成長願い御願式 台風で倒れた「ニーバンガズィマール」を植え替え 沖縄・伊江  暴風で倒れたガジュマル「ニーバンガズィマール」の植え替え作業が終了し、二代目ニーバンガズィマールに手を合わせる関係者=14日、伊江村西江前
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【伊江】台風6号の暴風で根こそぎ倒れた伊江村西江前のガジュマル「ニーバンガズィマール」の植え替え作業が8月18日に完了し、「二代目」となるガジュマルの御願式が9月14日夕、名城政英村長ら関係者が出席して行われた。式では渡久地政雄議長やガズィマールを管理してきた宮城孝雄さんら約20人が参加した。移植作業を担った伊江島緑化・代表取締役の内間賢生さんが線香などを供え、関係者が木の回りに泡盛をささげ、手を合わせた。

二代目の木に手を当て願いを込める佐次田満さん

 ニーバンガズィマールは沖縄戦の後、島に残されて敗戦を知らなかったうるま市出身の佐次田秀順さんと、宮崎県出身の山口静雄さんの2人の日本兵が米兵から身を隠すために生活した。作家の故井上ひさしさんは、この実話を基に劇「木の上の軍隊」の原案をつくった。

 村は当初、倒れた木を再生する予定だったが、幹や根の大部分が腐り、難しいと判断。一部残っていたニーバンガズィマールの横に、ミースィ公園から運んだ幹回り最大11メートル、高さ8メートルのガジュマルを植えた。

 佐次田さんの次男の満さん(75)は「倒木後、すぐに村や関係者の尽力で移植作業をしていただき感謝する。この木がなかったら私もいなかったかもしれない。これまで宮城さんや島の皆さんの見守りに感謝し、立派なガジュマルに成長してほしい」とガズィマールに手を当て願いを込めた。

 名城村長は「伊江島での戦闘の実情を後世に伝える二代目のニーバンガズィマールが、島の平和を守る神の木となるよう行政としてもしっかり守っていきたい」と語った。