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喜納勝代さんの歌碑建立へ 糸満 期成会が寄付募る 海を恋ふ 無口な男迎へんと 素足でかける 浜の妊婦は


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 【糸満】糸満市出身の歌人・喜納勝代さん(84)が、漁師町糸満の光景と家族愛をみずみずしく詠んだ代表作「海を恋ふ無口な男迎へんと素足でかける浜の妊婦は」を後世に伝えようと、喜納さんの短歌仲間や知人らが10日、市内で「喜納勝代歌碑建立期成会」を結成した。市内に同作の歌碑を建立するため、寄付を募る。
 喜納さんは1938年、糸満市生まれ。沖縄を愛する心を詠み続け、劇作家や映画監督、歌人として活躍した寺山修司らと交流を深めた。「久茂地文庫」を主宰し、琉球新報に図書館についての連載を掲載するなど地域の読書振興にも貢献し、92年に琉球新報活動賞を受賞した。
 同市の西区公民館で開催された期成会の結成総会では、会長に歌人の玉城洋子さん(78)=同市=を選出し、建立の資金130万円を造成するために寄付を募ることを決めた。歌碑は来春の完成を目指している。場所は県や市と調整中。
 総会に出席した喜納さんは「自分の歌が後世に伝えられることはとてもうれしい」と感謝した。玉城会長は喜納さんについて「沖縄への思いを詠み、積極的に県外に発信されてきた。糸満が生んだ全国に通用する歌人であり、誇りに思う」と語り、協力を呼びかけた。
 寄付は一口千円。受付口座は沖縄海邦銀行西崎支店(店番047)普通306835。名義は「喜納勝代歌碑建立事業期成会」。問い合わせは玉城会長、電話090(6864)3312へ。  (岩切美穂)
喜納勝代さん(前列右から5人目)の歌碑建立へ期成会を結成した関係者ら=10日、糸満市の西区公民館(同会提供)