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トゥール・ガーエー・テービー 22年ぶりに復活する伝統行事とは 金武町金武区


トゥール・ガーエー・テービー 22年ぶりに復活する伝統行事とは 金武町金武区 旗を付けた竹をぶつけ合いガーエーの練習をする区民ら=20日、金武町公会堂前広場
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【金武】金武町金武区で観月祭が行われる29日、22年ぶりにトゥール(灯籠)、ガーエー(ぶつかり合い)、テービー(たいまつ)が披露される。金武区の伊芸達博区長(75)が「これからの子どもたちに継承するためにも一度、経験させてあげたい」との思いで声を上げ、披露することになった。

 トゥール、ガーエー、テービーは金武区・並里区対抗の綱引きなどの前座として披露されるもので、区の象徴であるトゥールを掲げ、区民を鼓舞し、区民らは素手や竹などで相手陣営と押し合ったり(ガーエー)、火のついたたいまつをぶつけ合ったり(テービー)して、士気を高める。

 金武区誌などによると、両区対抗の綱引きは1916年ごろにはすでに始まっている。当時は、日頃の対抗意識を燃やした両区民らのテービー、ガーエーが警察沙汰になるほど白熱したという。近年では2001年に開催されているが、02年以降は両区の都合がつかず開催されていない。今回は金武区内を東西に分けて行う。綱引きの開催はない。

 伊芸区長の呼びかけで観月祭に披露することが決まると、区内の成人会や青年会、婦人会など約130人が集まり、9月6日から毎週水曜日に練習に励んでいる。練習段階から東西で「おまえらには負けんからよ」と言い合うほど熱が入っており、指導役を務める元金武町長の儀武剛さん(62)は「(若い世代が)教えてほしいと真剣に練習していて、とても良い感触だ。区の伝統をぜひ残したい」と願った。

 20日に行われたリハーサルで時計のトゥールを持った金武区成人会の奥間和広会長(52)は「初めて見る人も分からない人もいる。今回、復活させることができて本当に良かった。次の世代につなげられたらと思う」と話した。

 (金城大樹)