玉城青少年の家が解体 43年間の「思い出をありがとう」 12月に新館へ 沖縄・南城市


玉城青少年の家が解体 43年間の「思い出をありがとう」 12月に新館へ 沖縄・南城市 家族一緒に訪れ思い出に父親と自分の笑顔をアルバム帳に描く前城玲奈さん(右)と妹の莉子さんら
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 【南城】多くの県民が寝泊まりして楽しんできた南城市の県立玉城青少年の家の旧施設が解体されることになり、「宿泊棟お別れ会」が9月23日、開催された。関係者や利用者らが訪れ、43年間の思い出を探していた。

 施設は1980年開所。一部老朽化により、12月に新館に移転する。思い出が詰まった旧施設へのお別れと、親しみのある独特の設計を公開して建築関係者の学びの場にしてもらう目的でお別れ会を企画した。

 指定管理者の沖縄じんぶん考房と県立玉城青少年の家が主催して県民や建築関係者に参加を呼びかけた。沖縄じんぶん考房の山崎新さんと建築士の前泊肇さんが案内役を務めた。

 参加者は、階段式に造られたオリエンテーション中央広場や、男女別の宿泊室を見学。さらに2階屋上から久高島や玉城城跡、南側に広がる奥武島などを眺めカメラに収めていた。

設立10周年記念に県立知念高校美術部の生徒たちが建物に描いた絵

 プレイホール玄関前のステージには、設立10周年記念に県立知念高校美術部の生徒たちが描いた絵がそのまま残っていた。

 参加者は建築関係者が多く、親子連れも含めて総勢38人。台所や宿泊所なども見学した後、研修室に戻って感想を述べ、準備されたアルバム帳に思いを書いていた。

 那覇市で建設業を営む神谷英明さん(24)は「思い出をありがとう」、一緒に訪れためいの上原綾夢さん(小学6年)は「友達と来ておにごっこやかくれんぼをしたかった」と記した。

お別れ見学会に参加後、思い出を書いたアルバムを掲げる神谷英明さん(左)とめいっ子の上原綾夢さん=9月23日、県立玉城青少年の家の中庭

 南城市知念出身で小学生の時にクラス全員で宿泊したことのある前城尊志さん(43)は、娘2人が遊び回る様子を見て幼い頃を思い出し「大変よかった」と語り、妻の理恵さんと笑みを浮かべた。設立当時に青少年の家に勤務した垣花義孝さん(78)も参加し、プレイホールでの思い出を語って懐かしんでいた。

 旧施設は解体後、キャンプ場に生まれ変わる予定だ。

 (知花幸栄通信員)