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異論を乗り越え「土日開催」を決断、背景に若者層の声 130年続く名護の「豊年踊」、改革に踏み切ったワケ 仲尾次


異論を乗り越え「土日開催」を決断、背景に若者層の声 130年続く名護の「豊年踊」、改革に踏み切ったワケ 仲尾次 28、29日に開かれる豊年踊の本番に向けて練習をする仲尾次区の区民ら=17日夜、仲尾次公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

【名護】例年は旧暦の9月9日に実施され、130年以上の歴史がある名護市仲尾次区の「豊年踊(ほうねんおどり)」が、今年は初めて日程をずらして実施されることが決まった。本来は平日に当たる23、24日だが、土日の28、29日に変更する。仕事を抱える若年層の意見を受け、区民で話し合いを続けて決定した。異論もあったが、伝統の祭りを持続的なものにするために、新たな一歩を踏み出し、区民らは祭りの本番に向けて練習の真っただ中だ。

 仲尾次区の豊年踊は1887~90年ごろに始まったと伝わる。新型コロナウイルスの影響で中止したこともあり、今年は4年ぶりに開催され、129回目の演舞となる。棒や舞台芸能を合わせて50人以上が出演し、裏方など約100人が運営に携わる、同区の最大の行事となる。

 区民によると、コロナ禍の中断期間が長くなったことで演者集めが難しくなっており、平日に本番となると仕事の都合で参加できないとの意見も多かったという。伝統行事を今後も続けるためにも、土曜、日曜で開催する意見が上がっていた。区では、祭りに長年携わってきた区民の有識者から意見を聞くなどして、話し合いを続けてきたという。

 新城高樹区長は「若い層から『仕事を休めない』『平日だと体力的に厳しい』との意見も上がった。伝統を継承するためにも、日程の移動は必要だと話し合い、100%ではないが、先輩方も分かってくれた」と経緯を説明した。

 行事に向けた練習は9月中旬から始まり、10月に入って全体練習も熱を帯びてきた。たいまつを持って踊る「谷茶前」や、オランウータンにふんした男性が踊る「猩猩(しょうじょう)」、「若衆菊持」など独特の踊りがあり、17日夜は、区民らが動画などで確認しながら練習していた。豊年踊は28、29日ともに仲尾次公民館で開かれる。いずれも午後5時半から棒術、同6時半から舞台芸能が披露される。 

(池田哲平)