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「私も闘病中、髪が抜けて困った」 病乗り越え、琉舞で使用の「入髪」を寄付 がん手術5回「患者の力に」 沖縄・北谷の譜久村さん


「私も闘病中、髪が抜けて困った」 病乗り越え、琉舞で使用の「入髪」を寄付 がん手術5回「患者の力に」 沖縄・北谷の譜久村さん 舞台用の「入髪(いりがん)」を病気に苦しむ患者らのウィッグに活用してほしいとして寄付する計画の譜久村悦子さん(後列左)や弟子の比嘉洋子さん(同右)ら=北谷町宮城
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北谷】5回のがん手術を乗り越え、琉舞と三線の舞台活動や指導に取り組む譜久村悦子さん(81)=北谷町宮城=は、自らの闘病経験を基に、病気で苦しむ患者のウィッグに活用してほしいとして舞台で使う「入髪(いりがん)」を大阪市の団体へ寄付した。弟子たちと協力して取り組んでいる。琉舞で舞台に立つ際に髪に足して使う入髪として保管してきた一人一人の髪を送った。譜久村さんは「私もがんで闘病中、髪が抜け、困った」と振り返り、支援への思いを語る。

 1999年、57歳の時にぼうこうがんと診断され、手術を受けた譜久村さん。1回目の手術後もぼうこうがんの再発を繰り返し、2000年、01年、09年にも手術を受けた。さらに11年には悪性腎臓がんと診断され、5回目の手術を受けた。

 闘病中は「抗がん剤の副作用で気分が悪くなり、吐き気がひどかった。髪の毛も抜けた」と振り返る。苦しい闘病生活を支えたのは弟子たちだった。病院から弟子に電話し、声を聞いて元気をもらっていたという。その経験があるからこそ、今度は弟子たちと協力し、今苦しんでいる患者を少しでも助けたいと考えている。

 実は、弟子の比嘉洋子さん(76)も約5年前にがんを患い、手術を受けた。不安とショックで落ち込む中、5回ものがん手術を経験した師匠の譜久村さんから「心が元気なら絶対に大丈夫!」と力強い励ましを受け、心の支えになったという。療養を経て少しずつ回復し、休んでいた琉舞の稽古へも再び通い始めている。「私もウィッグを使い、必要だと感じた」と積極的に協力する。

 同じ弟子の我那覇美代子さん(75)、大城彩花さん(17)、比嘉珠莉奈さん(13)の入髪も寄付した。譜久村さんは「闘病中も心は折れないで頑張ってきた。髪が抜けて困っている人たちの役に立ちたい」と語った。

 (古堅一樹)