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庭園にリュウゼツラン開花 宜野座・浦崎さん 三年忌前、父思い植物慈しむ


庭園にリュウゼツラン開花 宜野座・浦崎さん 三年忌前、父思い植物慈しむ 開花したリュウゼツランのそばで手を振る浦崎百合子さん(左)と知人の佐久間亮さん=宜野座村宜野座
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 【宜野座】宜野座村宜野座区の浦崎百合子さんの自宅庭園で今秋、数十年に一度だけ開花することから「センチュリープラント(世紀の植物)」と呼ばれる「リュウゼツラン(竜舌蘭)」が、その特徴的な黄色い花をあでやかに咲き誇らせた。
 浦崎さんがガーデニングを始めるきっかけとなった亡き実父の三年忌を目前に、庭園は「幸咲き」よく色めいている。メルヘンチックな世界観が凝縮した浦崎さん宅の庭園は30種類以上の花木で彩られ、チョウが花々で羽を休め、グッピーが睡蓮(すいれん)鉢で泳ぐ。
 浦崎さんは7年間、実父の在宅介護でうるま市まで通った。介護福祉士の仕事を休職し、朝夕を問わない不規則な介護に実父との複雑な関係性も相まり、心身ともに疲れ果て、憔悴(しょうすい)していった。そんな折、庭園での花木の「植育」が心を和ませ癒やし、心身の回復へと誘った。
 「植物は愛情を注ぐと応えてくれるし、育て主の感情も理解しているのかと不思議に思う時がある。生きていく上で私の心を照らしてくれたり、笑顔にしてくれたり、たくさんのパワーをいただいて、本当に感謝です」と、わが子のように植物を慈しむ。リュウゼツランも知らずに譲り受けて植えた株だった。
 実父は一昨年に他界。他界後、父が「サンダンカを遺影に飾ってほしい」と懇願する夢を見たと、浦崎さん。来月の三年忌にはサンダンカが満開に咲き誇る。「父を思い、植物と愛を持って共存して生きます」と前を向いた。 (池辺賢児通信員)
開花したリュウゼツランのそばで手を振る浦崎百合子さん(左)と知人の佐久間亮さん=宜野座村宜野座