結成30周年！　石垣島出身 同級生バンド　ノーズウォーターズ

現在のメンバーは2人。マストこと崎枝将人さんは、きいやま商店のメンバーとしても活躍する。ヘンザンこと平安山高宏さんは現在、東京を拠点に活動中。ちなみに「ヘンザン」はあだ名で、本名は「へいあんざん」とのこと。

「ロックを基本にしながら、分かりやすい言葉で、楽しくなるような音楽を届けたい。お客さんからも『元気が出るね』ってよく言われます」（マストさん）。これまで9枚のCDを発表し、地元・石垣島や沖縄県内はもちろん、全国各地にも根強いファンがいる。

人気バンドへの道

石垣第二中学校3年の同級生6人で結成。若手ミュージシャンの登竜門であった八重山音楽祭に4年連続で出場した。

高校卒業後、いったん解散し、ヘンザンさんは東京、マストさんは福岡へ。

「就職で上京したけど音楽がやりたくて。マストのいとこのだいちゃん（きいやま商店メンバー）がいたから会いに行って、そこから居候で住まわせてもらった。そのうちに、だいちゃんが『マストを呼べ！』と」（ヘンザンさん）

呼びかけに応じ、マストさんは上京。ヘンザンさん、ギターの宮良信明さん、マストさんの3人でノーズウォーターズの活動を再開した。同時期に、下北沢のライブハウスで開催された沖縄イベントで、ドラムの與那原トールさんと知り合い、メンバーにスカウトした。

「トールにーにーは機材のことを教えてくれたり、いろんなCDを聞かせてくれたりした。トールにーにーが働いていたライブハウスで、バイトが終わって夜中に集合してレコーディングした」（マストさん）

1999年に初めて発表したアルバム『PAN-JAY』（石垣島の方言で鼻水の意味）が売れ、注目バンドに。石垣島・東京だけでなく、沖縄本島の活動にも力を入れようと豊見城村（当時）のトールさんの実家に半年ほど居候し、練習やライブ、レコーディングを重ね、本島でも人気を獲得した。

その後、事務所から東京に呼び戻され、全国のライブハイスでの活動が中心となる。この時のライブがきっかけで、全国にファン層が拡大した。

2008年以降、マストさんはきいやま商店での活動を開始。メンバーの入れ替わりもあり、現在はマストさん、ヘンザンさんの2人で活動を継続している。

ファンに感謝し未来へ

今年、ノーズウォーターズは結成30周年。今まで支えてくれた人たちに感謝を込め、記念単独公演を開催する。ステージには、結成メンバー、歴代メンバーが集まるという。併せて13年ぶりとなる新作CDも発表する。

「ノーズウォーターズが中学からやってきたことを学生たちに見てほしい」（マストさん）との思いから、赤字覚悟で、18歳以下は枚数限定で900円という料金に設定した。ライブを応援したい、手伝いたいとの声も多く寄せられているという。

「お客さんがいないと、ここまで続けることはできなかった。お客さんと一緒に楽しんだり、懐かしんだり。これからまた一緒に思い出がつくれたら」（ヘンザンさん）

会場の石垣市民会館大ホールは、同級生仲間で八重山音楽祭に出場し、ステージデビューを飾った場所だ。30年の思いがこもった、パワーあふれる演奏に期待したい。

（日平勝也）