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漆の花器と絵「花はどこへ行った」 反戦ソングテーマに展示会 GURIRONさんと前田さん親子がコラボ 沖縄、名護博物館


漆の花器と絵「花はどこへ行った」 反戦ソングテーマに展示会 GURIRONさんと前田さん親子がコラボ 沖縄、名護博物館 「花はどこへ行った」の作品を制作したGURIRONさん(中央)、前田彬さん(左)、前田比呂也さん=10月21日、名護市の名護博物館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

【名護】反戦ソング「花はどこへ行った」をテーマにした作品など約70点を並べた展覧会「Where  Have  All  the Flowers Gone?」が10月20日から3日間、名護市の名護博物館で開かれた。名護市の高校生アーティストGURIRON(稲嶺瑠琳(るり)さん、18)と漆工房前田貝揃案の前田彬代表(34)、彬さんの父の比呂也さん(62)の3人が初めてコラボし、彬さんとGURIRONさんによるトークショーも開催された。

展覧会の目玉となる作品「花はどこへ行った」は、曲の歌詞に合わせた6枚のパネルで一つの作品を構成するほか、一枚ずつの作品としても楽しめる。作品を通じて戦争の愚かさを訴え、歌や平和について考えるきっかけにしてもらうことが狙いだ。いずれのパネルも稲嶺さんが植物を描き、前田さん親子が作った漆の花器を取り付け、花を挿した。植物の絵は歌詞の解釈によって咲いたり枯れたりする様子が表現されているほか、6番目のパネルには造花を挿し見た目だけのきれいさを表現している。

現在、高校3年生のGURIRONさんは高校生になってから本格的に絵を描き始めた。お金をためて機材を増やし、表現の幅を広げようと今年の春から通信制高校に転校した。今後の活動について「絵を描きながらカメラや映像など他のことにも挑戦し、ライフスタイルに合ったものを選びたい」と語り、アートの見識を広めるための海外渡航にも意欲を示す。

彬さんは漆の文化について「違う動きを見せないとなくなる」と危惧する。漆を塗料などの素材として考え、比呂也さんと共に昨年立ち上げた工房では漆を使った花器などを作っている。GURIRONさんと前田さん親子は展覧会で交流が生まれたといい、彬さんは「根源的な考えの波長が一致していて、ぜひ一緒にやりたかった」と語った。比呂也さんは「三人とも世代は違うが、それぞれの解釈で作品を作ろうとなった」と振り返った。 (武井悠)