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「文化の産業化」巡り那覇市長と識者が対話 制作現場の問題も共有 那覇文化芸術劇場なはーと


「文化の産業化」巡り那覇市長と識者が対話 制作現場の問題も共有 那覇文化芸術劇場なはーと アートワーカーの制作環境について報告する(左から)上原沙也加さん、福地リコさん
この記事を書いた人 Avatar photo 藤村 謙吾

 【那覇】那覇市は19日、知念覚市長と市民が文化芸術について対話する「なはーとダイアローグ2023―24」の、第3回「那覇市長×東大教授×アーティストの対話 権利としての文化、産業としての文化」を、那覇文化芸術劇場なはーと大スタジオで開催した。文化政策の専門家・小林真理東京大学教授と、写真家の上原沙也加さん、映画制作者の福地リコさんが登壇した。文化芸術を創造し、享受する権利や、持続可能な「文化の産業化」について、意見を交わした。

まちづくりを文化化する視点の重要性について話す小林真理東京大学教授

 小林教授は「文化の産業化とは、アーティストが持続可能な活動を後押しすることだ。その働きかけを、どのような制度をつくり、やっていくのか考えないといけない」と話した。文化を生かすためのさまざまな支援策があることを紹介し、「文化を生かす」とは「文化の観光化やまちづくり化などではなく、まちづくりを文化化する」視点が大切だとした。芸術振興において、残すための記録や確認作業と、次の展開のために新しいものを作ることの、両方のバランスを取る重要性を説いた。

 知念市長は「アートワーカーの皆さんの実態が分かった。特殊な業界の仕組みに石を投げ込まないといけない。皆さんと今後どういう行動がとれるか、勉強していきたい」と話した。

 上原さんと福地さんは、3日と4日になはーとで開催した、アートワーカーの制作環境を考える協議会の結果を報告した。お金の話がタブーになっていることや、ハラスメントが常態化している現場があることなど、契約や報酬・費用、制作環境、ハラスメント等の観点から問題点を挙げた。

 (藤村謙吾)