沖縄市美原で学生服をリユース(再利用)し、格安で販売する活動を続ける「子ども応援団 笑びん」の代表・森田好美さん(55)。シングルマザーとして2人の娘を育てた経験から「子育て世帯の役に立ちたい」と活動を始めた。今では協力店もでき、活動が広がっている。「多くの子どもたちに制服が届いてほしい」と取り組みへの思いを語る。
(聞き手 石井恵理菜)
―活動の内容は。
「寄付や買い取りで中古の学生服を集め、ズボンは500円台から、ブレザーは高くても3000円台で販売している。新品の2割程度の値段で購入できる。中部地区の中学・高校37校分の制服を取り扱っていて、3500着以上ある。現在は協力店が沖縄市とうるま市に計3店舗ある」
―中古学生服の販売を始めたのは何がきっかけだったのか。
「2人の娘がいるが、シングルマザーのため制服を購入するのに苦労した。中学の制服はご近所からお下がりを譲り受けたが、高校はそうはいかず購入した。ちょうどその頃、親同士で集まり気軽に話せるコミュニティーを作りたいと思っていた。当時娘たちは高校生で、子育てに葛藤していた。学生服のリユースであれば、活動を通して子育て世帯の役に立つことができ、親たちが集まるコミュニティーを作れると思って始めた」
―制服は家庭の負担が大きい。
「どの家庭も、入学オリエンテーションで制服の値段を見てびっくりすると思う。制服だけでなく、体育着やジャージーなどもあり、ただでさえ入学時期は出費が多い。特にひとり親だと毎日の生活に追われ、貯金ができていない家庭もある」
―活動を通じて感じることは。
「入学前の春は最高だ。制服を試着してはにかむ子どもたちの姿を見ると、やりがいを感じる。使命感もある。またお母さんたちとコミュニケーションを取れてうれしい。子どもたちは自分が着ていた制服が役に立つと分かると、自ら持ってきてくれる。子どもたちのゆいまーる精神も育まれていると感じる。店が子どもの居場所にもなれたらうれしい」
―今後の目標は。
「笑びんの協力店を中部各地に広げていきたい。協力店を募集してから、沖縄市安慶田とうるま市川崎に住む女性から、協力店を開きたいと連絡があった。『地域の子どもたちのために何かやりたい』と思う人たちはたくさんいると知った。少しでも協力店を増やすことで利用者を増やし、多くの子どもたちが自分に合った制服とマッチングしてほしい。また将来的にはシングルマザーのためのシェアハウスを始めたい。母親たちのゆとりある時間を作りたい。シングルでも生きていけるような、みんなで助け合える環境を作りたい」
もりた・よしみ 1968年生まれ。那覇市出身。営業職などを経て、ヘルパーなどの福祉に携わりながら、2015年夏から「子ども応援団 笑びん」を運営している。FMコザ「親子で笑びん♪」(毎週土曜正午)のパーソナリティーも務める。声解析・声診断の活動も行う。