宜野湾の「カフェユニゾン」休業へ さんぴんチャイや工芸品、沖縄文化の発信拠点としても親しまれ 人手不足で決断 創業18年 沖縄


宜野湾の「カフェユニゾン」休業へ さんぴんチャイや工芸品、沖縄文化の発信拠点としても親しまれ 人手不足で決断 創業18年 沖縄 31日で休業する「カフェユニゾン」=宜野湾市(同店提供)
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 【宜野湾】沖縄の広い空とゆったり流れる時間をイメージした空間と沖縄文化の発信をテーマに2005年の創業から18年余り、県内外の人々に愛された宜野湾市新城の「カフェユニゾン」が23年12月31日をもって休業する。30日には常連客や元スタッフが訪れ、「ありがとう」としばしの別れを惜しんだ。

 カフェユニゾンは2005年11月12日にグランドオープンした。店名の「ユニゾン」は調和や一致などの意味を持つ言葉。食事、喫茶、インテリア、音楽、美術などを楽器に捉え、それらが「カフェ」に集い、「カフェ」を舞台に新しい曲を一緒に作り上げるイメージを託した。そのイメージ通り、カフェ営業のほか、音楽ライブや展覧会などを通して、沖縄の伝統や文化を中心に、県内外の文化を発信。多くの人が訪れる場所となった。

店内(同店提供)

 さんぴん茶をベースに作る「さんぴんチャイ」や、謝花きっぱん店の銘菓冬瓜漬を中に包み込んだ「冬瓜漬スコーン」は05年の創業当初からの人気メニューだった。 店内は「沖縄文化市場」と銘打ち、沖縄文化を継承、創造する沖縄にゆかりある作家の工芸品や雑貨が並び、ギャラリーやセレクトショップとしても活用された。

 休業は新型コロナウイルス禍に影響を受けた人手不足から決まった。創業当初からオーナーを務める三枝克之(みえだ・かつゆき)さん(59)は「コロナ禍以降、イベントが開けなくなり、外食の意識も変わった。営業も含め考え直すきっかけになった」と話す。一方で閉店でなく、「休業」としたのは「カフェユニゾンが積み上げてきた文化的遺伝子は残り続けるはずだ」という思いからだ。

カフェユニゾンのオーナー三枝克之さん(中央)とスタッフ、常連客ら=30日、宜野湾市新城のカフェユニゾン

 休業後の展開については何も決まっていないが、新たな経営者に引き継ぐことなど、さまざまな可能性を念頭に模索している。三枝さんは「店名や空間の使い方など、変わるものもあるかもしれないが、営業再開を楽しみに、期待して待ちたい」と笑顔を見せた。その上で「創業から18年は長いようで短かった。ユニゾンに関わってくれた全ての人に『ありがとう』と伝えたい」と感謝した。

店内に置かれたノートには、お客さんたちからの今までの思い出や感謝の言葉が綴られていた=30日、宜野湾市新城のカフェユニゾン

 30日も店内は多くの客でにぎわっていた。休業の知らせを聞いて東京都から駆けつけた女性(32)は福岡県出身で、琉球大学在学中に同店でアルバイトをしていた。「県外出身の私にとって、ユニゾンは沖縄の文化に触れられる場所だった」と懐かしんだ。現在は東京の大手ビールメーカーに勤めているが、ユニゾンで開かれたオリオンビールのイベントが就職のきっかけとなった。「私の人生に大きく影響しました」と別れを惜しんだ。

 学生時代から10年以上の常連だという別の女性(32)=宜野湾市=は「勉強で一息つきたい時によく来ていた。寂しさもあるが、再開を楽しみ待ちたい」と期待した。

 最終営業日の31日は午前10時~午後6時。ラストオーダーは午後5時。今後の営業再開などに関する情報は三枝さんのSNSなどを通して発信する予定だ。

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