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「マチリ」写真2千枚展示 与那国町図書室 各地区の祭祀 10年間記録


「マチリ」写真2千枚展示 与那国町図書室 各地区の祭祀 10年間記録 会場いっぱいに展示されている「写真展 ムラマチリの10年」=16日、与那国町嶋仲自治公民館内の与那国町立図書室
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【与那国】与那国町嶋仲自治公民館にある同町図書室が主催する「写真展 ムラマチリの10年」が、図書室や公民館フロアで開催中だ。マチリ(カンブナガ=神の節)の期間に合わせて、21日まで開かれる。過去10年間、地域の公民館が主催してきたムラマチリの記録写真計2千枚が一面に展示され、会場に一歩足を踏み入れた途端、図書室であることを忘れさせるほどの存在感で、見る者をマチリの世界へ誘う。

 与那国島では神が降りてくる神の月(カンヌティ・旧暦10月以降の庚申(かのえさる)の日から始まる)に、25日間にわたってマチリが行われる。この期間、島の人々は昔から四つ足の動物、特に牛の屠殺(とさつ)や食肉を禁じており、その一つとして暮らしに欠かせなかった牛や動物たちを敬い、感謝の意を表すためといった説がある。

 ムラマチリは与那国島の存続と繁栄を祈願する大切な祭祀(さいし)だ。クブラマチリ(久部良自治公民館主催)では庚申の日に異国人(海賊)退散を、ウラマチリ(東自治公民館主催)では辛酉(かのととり)の日に牛馬繁殖を、ンディマチリ(比川自治公民館主催)では甲子(きのえね)の日に子孫繁栄を、ンマナガマチリ(嶋仲自治公民館主催)では壬午(みずのえうま)の日に五穀豊穣(ほうじょう)を、ンダンマチリ(西自治公民館主催)では葵未(みずのとひつじ)の日に航海安全を、それぞれ祈願している。

 図書室の職員によると、写真展初日、与那国の方言を交え、町内放送で町民らに来場を呼びかけると、すぐに数名の町民が足を運んだ。図書室を利用する目的でやってきた子どもたちも、記録写真に写り込んでいる友人、知人、家族の姿を見つけるとうれしそうに歓声を上げ、にぎやかな様子で鑑賞。一度来場した人々が、写真に写り込んでいる人たちを連れて再び会場を訪れ、共に写真を眺め、にぎやかに会話を交わす姿が印象的とのことだ。

(崎元友紀通信員)