【那覇】那覇市繁多川公民館を運営するNPO法人1万人井戸端会議(南信乃介代表)は2021年から2年間、JICA草の根協力支援型事業の採択を受け、「エジプトにおける日本式公民館普及と社会教育強化プロジェクト」を実施した。
エジプトで2020年にオープンした民間のエジプシャン公民館(モハメッド・アブデルミギード館長・通称ギドさん)の社会教育の視点における生活圏の持続可能なまちづくりに寄与した。昨年10月にはエジプトからギドさんを含めて5人が来日し、JICA東京(渋谷区)でセミナーを開いた。一行は沖縄も訪れ、繁多川公民館のスタッフや地域住民らと交流した。
ギドさんは11年から15年まで沖縄に暮らし、繁多川公民館で公民館の役割などを学んだ。帰国後、同公民館などの協力を得てエジプトで日本式公民館づくりに取り組んだ。カイロのアグーザで公民館を開館させ、館長を務めている。
セミナーでは来日した5人など8人が登壇し、「エジプトの公民館のあり方から見た日本の公民館及び社会」をテーマに語り合った。登壇したエジプトの国立アインシャムス大学教育学部のハニー・ナディ助教授は、同大学で社会教育コーディネーター養成講座を開講したことを紹介した。日本の社会教育がエジプトで注目されていることなどが語られた。
エジプシャン公民館では、講座やサークル活動のほか、公民館の機能を持つ出前の「あおぞら公民館」や、1月13日には日本での研修を生かし、日本語学習者向けに日本人と話す「かたり場」も実施した。
社会教育についてギドさんは「人間にとってごく自然に必要なことだと思う」と述べ、「活動と運営を持続させるための努力を楽しみ、エジプトで活動を広めるために多くのパートナーと協力していきたい」と語った。
南代表は「エジプトの公民館づくりに関わる中で、逆に日本の公民館が学び、進化できると実感した。これからも兄弟館のような付き合いを続けたい」と話した。
(中川廣江通信員)