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「高い」「島のためなら」 竹富町の訪問税、島ごとに異なる賛否 観光客は賛同多く 町が住民説明会


「高い」「島のためなら」 竹富町の訪問税、島ごとに異なる賛否 観光客は賛同多く 町が住民説明会 訪問税に関する住民説明会で町側に質問する参加者=1月26日、竹富島のまちなみ館
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 町民以外の入域者から訪問税(仮称)の徴収を検討している竹富町は1月15日から26日にかけて、竹富島や西表島など各島で住民説明会を実施した。オンラインを含め計8カ所で約300人が参加した。税導入については大方容認の声が多かったが、案として上がっている徴収額2千円は「高い」という懸念の声もあった。特に観光客が少ない島では入域者がさらに減少するのでは、と反対の声もある。一方、観光客は「税の使途が明確であればいいのでは」と導入に理解を示す声が多い。町は、さらなる住民説明会も検討している。

 26日夜。町が竹富島のまちなみ館で開いた住民説明会には約60人が参加した。町側は前泊正人町長や新城賢良(あらしろけんりょう)税務課長らが出席。訪問税導入について協議してきた審議委員会の委員長・青木宗明(むねあき)神奈川大教授がオンラインで参加し、税導入の意義や額の妥当性について説明した。

 質疑応答で、住民から導入は「大賛成」だが「2千円は疑問だ」との声も。青木教授は「首都圏を中心に全国から来る来訪者は2千円と聞いても驚かない」「観光の質を上げるため」として、理解を求めた。

 税は船賃に上乗せして徴収する案が有力であるため「船会社の負担が増えるのでは」と心配する声もあった。新城課長は「船会社に手間をかけさせない施策を考えたい」として、今後、町として船会社への説明の場を設ける意向を示した。

 町によると、18日夜に説明会を開いた黒島では反対の意見が多く上がった。竹富島や西表島に比べ、入域観光客数が少ないことから、税導入でさらに減ったら「死活問題だ」と不安の声があったという。

 新城課長は各島によって意見に違いがあるとして「必要な所ではさらなる説明の場を検討したい」とした。

 一方、観光客は税に賛同を示す声が多い。29日、各島への船の発着場である石垣市の石垣港離島ターミナル。2歳の息子と東京から訪れ小浜島へ向かおうとしていた30代の夫婦は「税の使い道がしっかりしていたら仕方ない。竹富に来たかったら払う」と賛意を示した。

 大阪府から黒島へ向かう50代の母親と20代の娘も「2千円上がったからといって、竹富への旅行をやめようとは思わない」と述べ「島のためになるならいい」と評価した。

 愛知県から妻と息子と娘の家族4人で石垣に来た30代の夫も「環境整備に使われるならしょうがない」「税は島に来る人から徴収するしかないと思う」と理解を示し、次回は「西表島に行きたい」と述べた。

 町は2月にパブリックコメントを募集する。早ければ3月定例会に条例案を提出予定だが、住民説明会での意見集約などに時間を要することが想定されるため、次年度以降の提出も視野に入れている。

 (照屋大哲)