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祖父の故郷で親族と対面 豊見城 ブラジル県系マルシアさん


祖父の故郷で親族と対面 豊見城 ブラジル県系マルシアさん ブラジルから親族を訪ねたマルシア・ホカマさん(中央)と息子のエジーさん(左)、孫のクララさん(左から2人目)、親族の外間成喜さん=8日、豊見城市の根差部公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【豊見城】ブラジル・カンポグランデ市に住む県系3世のマルシア・ホカマさん(55)が息子のエジー・ラジニさん(37)と孫のクララ・ラジニさん(7)と9日、祖父の出身地の豊見城市根差部を訪れた。またいとこに当たる外間成喜さん(74)と初対面し、マルシアさんは「一族の歴史を知ることができてうれしい。(亡くなった)祖父の魂も一緒に来て喜んでいると思う」と目を潤ませて喜んだ。
 マルシアさんの祖父の外間徳次さんは、1929年に23歳でブラジルに移住し、妻のウミトさんと2人の息子を39年に呼び寄せた。マルシアさんが祖父母から聞いた話では、戦時中は敵国人として差別を受けたり、食糧難に見舞われたりしたという。マルシアさんの父を含む4人の子どもが生まれ、徳次さんは農業で生計を立て、野菜を売りに行くなどして家族を養ったものの、「とても苦労したようだ」と話す。
 昨年8月、照屋義実副知事がブラジルを訪問した際、カンポグランデ市の財務長官を務めるマルシアさんと会ったことから、県立図書館がマルシアさんのルーツを調査し、親族の関係が判明。徳次さんの兄の正吉さんの孫に当たる成喜さんとの対面が実現した。
 9日、正吉さんの仏壇や一族の墓に手を合わせたマルシアさんらは、成喜さんに「受け入れてくれてありがとう」と伝え、成喜さんも「みんなで頑張っていきましょう」と笑顔で応じていた。息子のエジーさんは「一族の伝統を維持する分家制度などブラジルにはない文化や家族のルーツが知れてうれしい」と笑顔を見せた。
   (中村万里子)