パーラー開店「誰にでも寄り添える店目指し」 天国の4歳「おい」の名前を店名に 沖縄・名護


パーラー開店「誰にでも寄り添える店目指し」 天国の4歳「おい」の名前を店名に 沖縄・名護 パーラー「HUG RIN TON」店長の岸本由香さん(右)と母の由美子さん(左)=2日、名護市宮里
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 【名護】かき氷やタコライスなどを提供するパーラー「HUG RIN TON(ハグリントン)」が6日、名護市宮里に開店した。店を切り盛りするのは市内で20年以上保育士を務めてきた岸本由香さん(43)と母由美子さん(65)。親族を失った家族に前向きに生きがいを見つけてもらうとともに地域の人々が集まる場所にしようと、家族ぐるみで開店準備を進めてきた。開店を前に由香さんは「誰にでも寄り添える、店に来てほっとするようなパーラーを目指していく」と前を向いた。

 店を開くきっかけとなったのは、由香さんのおいの岸本鈴永(りんと)くん(2020年死去、享年4歳)の死だった。仲が良い家族だけに心にはぽっかりと穴があいたが、由香さんによると、鈴永くんの闘病を通じて家族の絆はより深まった。由美子さんが以前からパーラーの開店を望んでいたこともあり、お世話になった人への恩返しや家族の元気をおすそわけしようと2年前に出店を決めた。店名の「リントン」は鈴永くんの名前から採り、地域の子どもを抱きしめて育てるという意味を込めて「ハグ」を付けた。。

 店舗作りには由香さんの父や弟も協力し、1年以上かけて完成させた。壁面には由香さんが朝日から夕日まで一日の流れを描き、「どんな事情を抱えた人でも明日も来てね」と願いを込めた。

 敷地内では40年ほど前まで、由香さんの大叔母がたこ焼きやサーターアンダギーなどを販売していた。当時を知る住民からは「懐かしい」と声をかけられることもあるという。3月31日には開店前のプレイベントもあり、家族や由香さんの知人らが開店を祝った。

 平日は午前7時から午後1時と同3時から7時まで。土日祝日は午前9時から午後6時まで。水曜定休。問い合わせは、電話090(1940)9654。

(武井悠)