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牧原公民館(読谷村) 基地内の故郷へ思いつなぐ<わした公民館>112


牧原公民館(読谷村) 基地内の故郷へ思いつなぐ<わした公民館>112 「子どもに平和の尊さを伝えたい」と話す與古田松吉会長=12日、読谷村の牧原公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 金盛 文香

 戦後、全域が米軍用地となり今も帰ることができない読谷村の「牧原」地域。牧原公民館は牧原区民が多く移り住んだ村比謝にある。1965年、区民らが故郷への思いを込めて完成させた。

 戦前の牧原区民にとって中心的な拝所であった「チチェーンヌウタキ」は現在、米軍嘉手納弾薬庫地区内にある。牧原自治会は年に一度、チチェーンヌウタキで祈願しており、村外からも牧原出身者が参加する。

公民館敷地内にある戦争慰霊碑「牧原の碑」=12日

 與古田松吉会長(74)は「戦争の苦難の歴史は続いているが、平和の尊さを伝えたい」と思いを語る。2023年には、戦争で亡くなった牧原出身者72人の名前を刻んだ慰霊碑「牧原の碑」を公民館敷地内に建設した。

 「子が伸び伸びと育つ環境を大事にしている」と子ども会やイベントも盛んだ。慰霊の日前には子どもたちに牧原の歴史も伝える。與古田会長は「故郷への思いは強い」と牧原の文化や歴史をつないでいる。


 與古田会長から一言 子どもにも平和の尊さをつなぎたい。

 牧原のメモ 牧原公民館は村比謝に位置する。比謝の2024年3月末の人口は1801人、839世帯。

 (金盛文香)
 (金曜掲載)