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嵩田公民館(石垣市) 台湾からの入植者が開拓<わした公民館>111


嵩田公民館(石垣市) 台湾からの入植者が開拓<わした公民館>111 自然環境の良さなど嵩田の魅力を語る西野嘉憲館長=3月25日、石垣市嵩田
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 沖縄一高い山、石垣市の於茂登岳のふもとに広がる嵩田地区。台湾からの入植者が開拓し、集落を形成してから約90年の歴史になる。パインやマンゴーの栽培を中心とした農村で、緑に囲まれた地区だ。

 西野嘉(よし)憲(のり)館長(54)によると、開拓が始まったのは1933年。戦時中、入植者の大半が台湾に戻ったが、戦後、再び嵩田に戻ってきた。60年代にはパイン生産が隆盛を極め、現在も2世、3世らが農業に汗を流す。

 嵩田は市街地とは異なり、家々が離れて立地している。住民が集う嵩田公民館は鳥のさえずりやカエルの鳴き声が響き、チョウが飛び交う自然豊かな場所にある。

 月に1度、各世帯1品持ち寄りで集まる「ゆんたく会」は35年以上続いている。飲食をしながら、地域の子どもの成長を感じ、高齢者の体調を気づかう、住民にとって大切な行事となっている。

パインをかごに入れ町へ売りに行く台湾から来た住民=1955年(嵩田50年のあゆみより)

 西野館長から一言 こぢんまりとして大きな自然の中に包まれているように感じる嵩田。地域のみんなは互いに顔を知っており仲が良い。

 嵩田地区のメモ 石垣島の中心地よりやや西に位置する。近くに名蔵川や名蔵ダムがある。人口142人、62世帯(2024年2月末現在、市統計より)

 (照屋大哲)
 (金曜掲載)