【北谷】「次世代に沖縄の伝統文化を継承したい」。北谷町浜川にあるカフェ六屯(ロットン)のオーナー、小坂直樹さんは独創的なアイデアでグッズ作成やイベントを企画している。昨年4月3日に発売した「うちかびスケット」は人気を博し、今年3月には「うちかびスケットTシャツ」を発売した。
昨年発売した「うちかびスケット」はシーミーの時期だけでなく、お祝い事や家族の集まりの土産ものとしても人気で、時期を問わず売れ行きは好調だ。「楽しみながら(うちかびの文化を)孫に伝えられる」と購入していったおじいさんもいた。
しかし意外なことに「利益は出てないですよ」と小坂さんは苦笑い。うちかびを表現するため縦14センチ、横7センチと通常のビスケットに比べてサイズは大きい。さらに素材はアレルギーフリーにこだわり、卵、牛乳、小麦粉を使用していない。うちかび柄は手作業で付ける。1枚作るのに手間も時間もかかる。
それでも「文化を継承するため踏ん張っている」と作り続ける。公民館に勤めた経験がある小坂さんは、カフェを経営する今でも、地域とのつながりや、地域に還元できることは何かと考えを巡らせる。「スポットライトが当たらない地域に根差した文化などが地域を支えている」と語る。
うちかびを製造する読谷線香も小坂さんの思いに共感し、「読谷線香公認」の文字とともに同社の製造するうちかびのパッケージそのままを使用している。
「地域のことに無関心でいてほしくない」と、選挙の時は無料で飲み物を提供するなど、選挙の投票率向上への取り組みも展開する。アイデアを書き込むノートを手に「今後もやりたいことはいっぱいだ」と明るく笑った。
(金盛文香)