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強豪、若手 好カードぞろい 第12回夏の全島闘牛大会 11日午後1時、うるま市石川ドーム


強豪、若手 好カードぞろい 第12回夏の全島闘牛大会 11日午後1時、うるま市石川ドーム
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 第12回夏の全島闘牛大会(沖縄県闘牛組合連合会主催、琉球新報社共催)が11日午後1時から、うるま市石川多目的ドームで開催される。開場は午前9時となっており、正午からは具志川青年会がエイサー演舞を行う。入場料は男性3千円、女性2千円、中高生千円、小学生以下無料。注目の番付表には、2大タイトル戦を含め夏の全島大会らしい軽量、中量級の妙である技とスピードのぶつかり合う激戦が予想される、全10試合の好カードが並ぶ。真夏の酷暑が続く中ではあるが、体調管理を万全に牛たちが120%のパフォーマンスを発揮することを期待したい。(平川智之通信員)

シーの一番
黒獣王×心美花形
無敗王者に打撃技で挑むか

 950キロ以下で争われる中量級優勝旗争奪戦は、15戦全勝の王者黒獣王に心美花形(元・闘勢神玖)が挑戦する。黒獣王は2018年のデビューから現在にいたるまで一度も土がつくことなく難攻不落の牙城を築いている。

黒獣王
心美花形

 内向きに鋭く尖ったガン角を武器に強烈なワリ技から腹取りを得意とし、長期戦も難なくこなすスタミナも兼ね備える。まさに一寸の隙も見せない完全無欠のチャンピオンと言っても過言ではないだろう。今年に入ってからは、ロッドマン、二代目武捷龍、突撃パンチャンと対戦したが相手を寄せ付けない強さで一蹴している。

 対する心美花形は、トガイー角を使ったカケ技やワリ技で序盤から一気に攻勢をかける戦い方を得意とする。徳之島で前心☆美乱、一撃獣王に敗れ2連敗したのち沖縄へトレードされた。

 移籍後は初戦を源勝菜と対戦し9分余りで撃破、続く2戦目は清建設工業黄金(元・貴時幸龍)に8分33秒で敗れている。先場所の復帰戦では、下馬評を覆し南星朱蘭から金星を挙げる活躍を見せており、上り調子で勢いそのままに試合に臨んでくるだろう。

 それでも、大方の予想は黒獣王の横綱相撲で終わるとの声が多く聞こえてくる。過去の対戦を振り返ると、ちょうど1年前の夏の全島大会で闘勢心玖留と対戦したが、闘勢心玖留の距離を取ったツキ・ワリに思いのほか苦戦する場面が見られた。このことからチャンピオン攻略の鍵はやはり打撃技ではないだろうか。心美花形のリーチ差を生かした打撃が黒獣王の眉間を効果的に捉えることができれば、十分に勝算も見えてくるだろう。はたして金星に続く大金星を獲得なるか。

シーの二番
しんちゃん×長堂畜産葵冠
スピードか長期戦か勝負左右

 850キロ以下で争われる軽量級優勝旗争奪戦は、10連勝中のベテラン牛しんちゃんが初防衛を懸けて長堂畜産葵冠と激突する。しんちゃんは5月の第120回春の全島闘牛大会で友羽総業覇鬼を破り初のタイトルを手にした。この試合では友羽総業覇鬼の猛攻を受けて、しんちゃんは防戦一方で終始不利な展開を強いられた。しかし、友羽総業覇鬼が突如として戦線離脱すると、しんちゃんに棚ぼたで勝利が舞い込んだ。

しんちゃん
長堂畜産葵冠

 運も実力のうちと言われるように、これまで積み重ねてきた連勝はだてではなく、さらに牛主ファミリーの日頃から真摯(しんし)にしんちゃんと向き合う姿勢がこの幸運を呼び込んだのではないだろうか。

 対する長堂畜産葵冠は、2度の逆境からはい上がってきた苦労牛だ。徳之島での2018年のデビュー戦でしらみず凰樹(元・樹里)と対戦。横っ腹に大けがを負い戦意が危ぶまれた。完治後、沖縄へ移籍すると周囲の心配をよそにたっちゅー、まんぷく大虎號、玉村105号、炎鵬を撃破し4連勝の快進撃を見せた。

 その後、弥生号との対戦では体格差のハンディキャップの前になすすべもなく敗北した。この敗戦の後遺症を引きずり次戦の常勝会テスリ華梨戦では、闘争心の陰りが見え、わずか59秒で敗走。2連敗と後がない中、牛舎を移籍し臨んだ正月の黒猿戦では自己最長対戦タイムを大幅に更新する42分48秒で勝利し完全復活を遂げた。

 両牛の勝敗を左右するポイントは、開始直後から一気に攻め込むしんちゃんのスピードに乗った波状攻撃を長堂畜産葵冠がかわして長期戦に持ち込めるかどうかだろう。

シーの三番
伊波重機☆白嵐×琉仁昇龍
打撃応酬予想、スタミナ戦も

 伊波重機☆白嵐は、昨年6月の平成若猪会大闘牛大会でのデビュー戦で、キラキラ☆にゃん太♡(元・勝山無双)と対戦し潜在能力の高さを見せたが惜しくも敗れている。初戦こそ落としたものの、その後は5連勝と成長著しい若手牛だ。

伊波重機☆白嵐
琉仁昇龍

 戦い方は、カケ技とワリ技を主軸に攻撃を組み立て、隙を見て一気に腹取りを狙うスタイルだ。とりわけ評価を高めたのが4戦目の勝山天王との一戦だ。軽量級の中でもトップクラスの実力を持つ勝山天王と24分にも及ぶ激闘を演じ、苦しい時間帯でも強烈なワリ技を繰り出し勝ち切るスタミナと気持ちの強さを見せた。

 対する琉仁昇龍(元・昇(マチー大城)龍)は、7勝2敗の好成績を誇る軽量級のトップランカーだ。主にワリ技を得意とし、カケ技からの押し込みを織り交ぜながら攻め込んでいく。加えて接戦になった時の粘り強さも持ち味の一つだ。これまでに勝山天王、石山聖空宝志みおり、華丸、戦闘パンダなどに勝利。ドラケン☆キラ桜、与那国同志号に敗れている。

 伊波重機☆白嵐はここで勝利をものにできれば軽量級王座への距離をグッと縮められるのではないだろうか。一方、琉仁昇龍は牛舎を移籍し心機一転で臨む今大会で経験の差を見せつけ若手牛の行く手に立ちはだかることができるだろうか。両牛ともに打撃戦を得意とするので激しいツキ・ワリの応酬が予想され、スタミナも豊富なことから長期戦へ突入することも考えられるだろう。

シャトルバスを運行します

 当日は午前9時から大会終了まで、石川庁舎と会場間でシャトルバスを運行する。ドーム駐車場は関係者専用のため、沖縄県闘牛組合連合会は一般来場者にシャトルバス利用を呼びかけている。