【宮古島】旧盆の送り日にあたる18日、宮古島市上野宮国の宮国公民館前で「宮国の大綱引き」と「デーロイ」があった。豊作と豊漁を祈願して、旧盆で帰省した出身者や住民らが東西に分かれ、かけ声に合わせて綱を引き合った。西里が勝利を収め、向こう一年の豊漁が決まった。
大綱引きは旧暦7月15日に開かれている。シイノキカズラは「キャーン」と呼ばれ、住民らが手作りで編む綱の材料となる。地域の中学2年生の子どもたちを中心に集められた。
宮国では中学2年生の年代の子どもを「綱生徒(シード)」と呼び、シイノキカズラを集める作業の中心を担うことで大人の仲間入りができるという。綱作りは男性が担うが、地域の子どもたちが挑戦する姿も見られた。
日が暮れると、東西に分かれた住民らが、クイチャーを踊りながら、公民館近くの交差点で合流し、大きな円をつくって、クイチャーを再び踊った。
綱引きでは、かけ声に合わせて綱を引き合い、見学していた観光客も参加し、盛り上がった。渡真利一平さん(42)=会社員=は「久々に西里が勝つことができ楽しい。久々に宮国に帰ってきた人たちとも交流できてよかった」と語った。
東西押し合う「デーロイ」も
18日夜の「宮国の大綱引き」の後、東西の住民が集団で押し合う「デーロイ」が実施された。それぞれの代表者を決め、代表者を中心にした集団が押し合いながら、力比べを楽しんだ。
住民によると、デーロイは「出てこい」という意味。この日は、3部門(子ども会、壮年女性、壮年男性)に分かれ実施された。本番前、参加者らは「デーロイ、デーロイ」とのかけ声とともに公民館近くの交差点を中心に集まり、クイチャーを3回踊った。踊り終わりと同時に組み合い、押し合った。
真剣な表情で押し合い、転倒する人も見られたが、デーロイが終わると参加者の表情に笑顔が広がった。参加した垣花斗志也さん(30)は「これがないと元気よく一年を始めることができない。活力の源になっている」と満足げだった。