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発動機に夢中 魅力伝える 南城市の新垣正夫さん


発動機に夢中 魅力伝える 南城市の新垣正夫さん 自宅の庭で、国内10台もないとされるダイハツのオート三輪に乗る新垣正夫さん=南城市
この記事を書いた人 Avatar photo 藤村 謙吾

 「沖縄石油発動機低速村・村長」の肩書を持つ新垣正夫さん(71)=南城市大里稲嶺=は、自他共に認める「発動機マニア」だ。ガレージには、昭和10年代に製造されたナショナル製の石油発動機1台に、昭和20年代初期のクボタ製の発動機2台を所有する。新垣さんは「石油が燃えるにおいと、ポンポンという音が好き」と、笑顔を見せる。

 新垣さんは子育てが一段落した50代の時に、もともと好きだったバイク熱が再燃し、学生時代に乗っていたHONDAのCB250を購入。バイクのメンテナンスを自ら行う中で、エンジン(発動機)の歴史を調べるうちに、現在のガソリンエンジンの前身である石油発動機にも興味を抱いた。

 15年ほど前にオークションでクボタ製の発動機を落札。インターネットで知った石油発動機好きの集まりにも参加し、「発動機仲間」を増やしていった。2012年に広島県で開かれた愛好家の会で登壇した際、「発動機を使って黒砂糖を搾る機械を造ろうと考えている」とあいさつし、参加者を沸かせた。ナショナル製の発動機は、これらのつながりを通じて知り合った、発動機の第一人者・森下泰伸さんから譲り受けた大事な一品だ。

 「沖縄オート三輪同好会」「沖縄旧車南部鉄馬会」の一員でもある新垣さんは、国内に10台もないとされる、ダイハツの「ミゼット」の前身であるオート三輪も所有する。同車荷台にフリースクールの子どもを乗せてあげるなど、旧車の魅力も発信している。新垣さんは「発動機は脱穀など、農作業のための動力源として広まっていった。発動機の歴史は、人間の生活の歴史でもある。旧車や実物を通じ、発動機に興味を持つ人が増えてくれるといい」と話した。

 発動機は、毎年春と秋の2回開催される「南城市憩いのオープンガーデン」に合わせ、新垣さんが自庭に展示している。

 (藤村謙吾)