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平和の「緑十字機」知ってますか? 伊江島と静岡・磐田市の歴史を後世に 玉城デニー知事もオンライン講演


平和の「緑十字機」知ってますか? 伊江島と静岡・磐田市の歴史を後世に 玉城デニー知事もオンライン講演 「伊江島緑十字機を語る会」と交流する緑十字機不時着を語り継ぐ会のメンバー=8月18日、静岡県
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

 【沖縄・静岡】1945年8月、太平洋戦争の終戦手続きを担う日本の降伏調印使節団を乗せてフィリピンに向かう途中に伊江島に降り立った飛行機「緑十字機」。帰路に伊江島から千葉県の木更津飛行場を目指し飛び立ったが同日深夜、静岡県の鮫島海岸に不時着した。地元住民らの支援活動により降伏文書は無事、日本政府に届けられた。その歴史を後世に継承していきたいと磐田市で8月18日、第7回平和大会(緑十字機不時着を語り継ぐ会=緑語会=主催)が開かれた。沖縄から玉城デニー県知事がオンラインで参加し、基調講演を行った。

 磐田市と伊江村は「戦後平和の発祥地」として親交を深めており、伊江村から内間常喜副村長や「伊江島緑十字機を語る会」の渡久地政雄会長らがオンラインで参加した。

瀧田悟さんが持参した河辺虎四郎中将の日誌のコピー=8月18日、静岡県

 会場には来賓として、降伏調印使節団の代表を務めた河辺虎四郎中将の親族に当たる瀧田悟さんが富山県から参加したほか、同使節団の支援・救援に当たった人々の親族、磐田市の内野昌美副市長、鈴木喜文市議会議長、市民ら約100人が参加した。

 渡久地会長は「緑語会と平和交流を継続し、緑十字機の史実を伝える活動を展開していきたい。緑十字機が戦後平和に導いた証しとして緑十字機が離着陸した場所周辺にモニュメントや説明板を設置したい」と意向を伝えた。

 玉城知事は「戦争や紛争を起こさないための日本の役割とは」と題して講話した。沖縄独自の地域外交の強化を強調し、「平和と安定のためには対話によってお互いが理解を示し、協力して発展していこうという関係をさらに構築していくことが最も重要」と言及した。また、伊江村が展望する緑十字機の史実を伝えるモニュメント設置について「伊江村と沖縄県が協力して取り組んでいきたい」と述べた。

 緑十字機が不時着した際の支援者の息子で緑語会の中田智久会長は「語り継ぐことは使命であり、平和のありがたさを伊江村と交流をしながら訴えていきたい」と話した。

 (中川廣江通信員)