有料

美里工、エース与那嶺が粘投 沖水の上原、バットでチームを鼓舞 沖縄県高校野球・秋季大会


美里工、エース与那嶺が粘投 沖水の上原、バットでチームを鼓舞 沖縄県高校野球・秋季大会 美里工―名護 粘り強いピッチングで完投した美里工の先発・与那嶺裕陽=23日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 屋嘉部 長将

 高校野球の第73回県秋季大会第7日は23日、沖縄セルラースタジアム那覇などで2回戦8試合が行われた。沖縄水産は八重山と戦い5―4で競り勝った。中部農林は4―2で沖縄カトリックを下した。首里は浦添商を5―3で破った。前原は那覇国際に9―1、具志川商は八重山商工に9―1、興南は石川に11―1でそれぞれコールド勝ちを収めた。美里工は6―5で名護との接戦を制した。KBC未来は浦添と延長十一回タイブレークの末10―6で勝ち上がった。


 第3シードの美里工が苦しみながらも初戦となる2回戦を突破した。中盤に名護に1点差まで追い上げられるも、先発したエースの与那嶺裕陽が踏ん張り、逆転を許さずに完投した。与那嶺は「シードということと初戦だったので緊張があった。逆転されなかったことが良かった」とほっとした様子だった。

 球のリリース位置が安定していなかったという与那嶺。変化球の曲がりが大きくなってしまい、ストライクが取れず、毎回のように走者を背負った。それでも四回までは要所で打たせて取る投球でホームを踏ませなかった。

 しかし五、六回と変化球でストライクが取れず、ストライクを取りにいった直球を狙われるように。味方のエラーも重なり1点差にまで迫られが、ここで「自分しかいない」と奮い立った。リリースを修正し、カウントを整えられるようになると、テンポ良く打者を抑え、九回は直球も走り連続三振も奪った。

 部員は58人。8月の新人大会と今回、同じ先発メンバーが与那嶺を含め3人だけと競争は激しい。自らチームを引っ張る覚悟も見せながら、「立ち上がりが悪かったので次はしっかり調整していきたい」とエースとして次戦を見据えている。

 (屋嘉部長将)


八重山―沖縄水産 3回、中前打を放つ沖水の上原唯颯=23日、沖縄セルラースタジアム那覇(砂川博範撮影)

 沖縄水産が八重山との点の取り合いを制し、3回戦へと駒を進めた。リードオフマンの上原唯颯は打点こそ挙げられなかったが3安打の活躍で、決勝点となる5点目を含み2度本塁を踏んだ。上原は「自分の役割が果たせた」と実感を込めた。

 沖水は初回で2点を先制し、この勢いのままいくかと思われた。だが四回、八重山に3点を奪われ逆転を許す。それでも単打と敵失を絡ませ五回終了時点で4―4の同点とした。

 「1番打者として積極的な打撃を心掛けている」という上原は六回の4打席目も、ファーストストライクから振っていった。既に2本の安打を放っており、調子は良い。この回途中から登板した相手の2番手投手の立ち上がりを打ち崩す好機でもあった。

 直球に合わせ、5球目を捉えると打球は右翼線を抜ける二塁打に。続く要逸斗が右前打を放つと、上原は「いける」と判断し、一気に本塁に突っ込んだ。沖水はこの1点を守り切り、薄氷の勝利をつかんだ。

 上原は「ベンチの士気が下がっていた中で一本が出てよかった。次の試合も自分のバットでチームを鼓舞したい」と力を込めた。

 (砂川博範)