7日に行われた高校野球の第73回県秋季大会最終日は、九州地区大会出場を決めている興南と沖縄尚学が県1位を懸け、決勝を争った。興南は一回、主砲仲田陽が1死二、三塁の好機で先制となる2点適時打を放って流れをつかむと、中盤以降も得点を重ね、計12得点を挙げた。投げてはエース左腕の田崎颯士が130キロ台後半の直球と多彩な変化球を織り交ぜて7回途中を4失点でしのいだ。後を継いだ金城勇希は追加点を許さず、興南が12―4で2年ぶり10度目の王者となった。
11安打12得点の猛攻を見せた興南がライバル沖縄尚学を退け、ノーシードから頂点に上り詰めた。主砲の仲田陽が3安打4打点の活躍を見せ、バットでチームを引っ張った。
興南が序盤から主導権を握った。一回1死二、三塁の好機で迎えた仲田の初打席。つけ込まれていた内角を5球目できちんと捉え、先制の2点適時打を放った。
興南は四回にも四死球や野選で2点を追加すると、2死二、三塁の場面でまたもや仲田が直球を右前へとはじき返し、さらに2点を加えてリードを広げた。
だが昨年王者の沖尚も黙ってはいない。中盤で興南のエース田崎颯士を攻め立てると七回までに4点を重ね、攻勢に出る。
「勝ちを意識しすぎた」と興南の石川駿介主将。失点後は、優勝も重要だがそれよりも「目の前のプレーに集中しよう。まだ試合は終わっていない」とみんなで声をかけ合った。これで気持ちを落ち着かせた興南は終盤にも点を加え、終わってみれば大量12得点。2年ぶりの優勝を飾った。
仲田は「九州でもチーム一丸となってしっかり1戦1戦勝ち上がっていく」と意欲を高めた。
(砂川博範)
興南のエース左腕・田崎颯士は4失点と苦しみながらも、7回途中まで腕を振り続けた。前半は外角を突くことを徹底し、沖尚打線を抑え込んだ。だが変化球が抜け気味で、六回には高く浮いたところを捉えられ3連打を浴びた。チームは優勝したものの、自身の投球には「納得がいっていない」と課題を残す試合となった。
直球で三振が取れないと分かってからは打たせて取る投球を心掛けた。
「エースが試合を決めないといけない」と自らを奮い立たせるが、体力の消耗もあって修正が間に合わず七回途中でマウンドを降りた。
3回戦までインフルエンザで大会を欠場し、本調子とは言いがたいが最後まで気迫を見せ続けた。「九州大会までには勝てるチームづくりをしていく。個人的にはしっかり0点に抑えることにこだわる」と再起を誓った。
(砂川博範)
仲本、攻守で存在感
興南の仲本大政が捕手として先発田崎颯士と救援の金城勇希を支えた。田崎には外角を突く配球を心掛けた。
だが田崎の高く浮いた球が捉えられると、七回途中から登板した金城には、「ワンバウンドでもいいから、どんどん低めを攻めよう」と要求した。もくろみ通りに相手打線を抑え、沖尚の追加点を許さなかった。
仲本はバットでもバント安打を含む3安打1打点と存在感を発揮し、攻守で活躍。試合後は「九州は県よりもレベルが高い。ミスを一つ一つなくしていく」と強調し、照準をすでに九州大会に合わせていた。
(砂川博範)