浦添市のボウリング場。ボールの流れる音の後、はじけるようなピンの倒れる音が続き、ストライクをたたえる拍手が場内に響きわたった。ボールを投げていたのは浦添市の金城健太さん(28)。28日に開幕する特別全国障害者スポーツ大会「燃ゆる感動かごしま大会」のボウリング競技に出場する。
軽度の知的障がいがある。ボウリングを始めたのは小学校1年生の頃。当時泣き虫だったという金城さんを心配して、母が人見知りを克服しようとボウリング場に連れて行ったことがきっかけだった。ボウリング場主催のジュニアスクールに通いながら趣味程度で続けた。中学と高校では卓球をし、週末にボウリングも合わせて取り組んでいた。
障害者スポーツ大会は初出場となる。「運動神経はいい方ではなかったですけどね」。緊張していた表情がほころんだ。
「得意なところは特にないですね」と控えめに話す金城さん。プレーをそばで見てきた母の小百合さんは「最近では(離れた場所にピンが残る)スプリットの場面でも安定したコントロールができるようになった」と成長を感じている。
大会に向けての課題は、レーンコンディション(オイルパターン)の把握だ。ボウリングはレーンに塗られているオイルの量や距離を常に意識しなければならない。「レーンにはそれぞれ癖があり、スコアが左右される。集中力を切らさないよう頑張りたい」と意気込んでいる。
小百合さんは「落ち着いて自分らしくプレーしてほしい」と地元沖縄から結果を見守る。
試合は28、29の両日、鹿児島市である。目指すはメダル獲得だ。
(渡真利優人)