高校野球の秋季九州大会(第153回九州地区大会)は29日、福岡県の小郡市野球場などで1回戦の残り4試合が行われた。興南は唐津商(佐賀)と戦い、両エースによる投げ合いの末0―1で敗退した。興南は左腕の田崎颯士が序盤から得点圏に走者を背負ったが、気迫の投球で得点を与えなかった。興南打線は相手投手に抑え込まれ、田崎を援護できなかった。興南は八回2死二塁から失策で1点を奪われ、それが決勝点となった。
興南はエース左腕の田崎颯士が粘投するも、勝利まであと一歩及ばなかった。県大会で計51得点の打撃力を誇った打線は相手投手の前に沈黙し、5安打無得点と鳴りを潜めた。
田崎は序盤、直球があまり走らず厳しいコースを突けないなど、四回まで毎回走者を背負った。「切れやコントロールが良くなかった」と反省する。それでも回を重ねるにつれ徐々に調子を取り戻し、特に変化球の制球が安定し始めた。
「相手に考える時間を与えないように」と投げるテンポを上げて、カットボールやスライダーを低めに集めてゴロを打たせ、苦しみながらもスコアボードにゼロを並べた。
だが田崎の奮闘に打線が応えることができず、三塁まで進めたのは七回の1度だけ。八回に2死二塁から失策で先制点を許し、白星を逃した。
田崎は「夏に向けて一からやり直しが必要だ」と悔しさをにじませる。新チームはまだ発足したばかり。みんなで「(甲子園出場という)目標をしっかり確認したい」と初心に帰り、これから迎える冬を乗り越えるつもりだ。
(砂川博範)
相手エース、攻略できず
興南打線は相手エースを最後まで打ち崩すことができなかった。前半は力のある直球に押され、後半は落ちる変化球にタイミングを外されるなど、県大会でのチーム打率3割6分2厘の強打を発揮できずに終わった。
1安打を放った主砲の仲田陽は「先制点が大事な試合になるとみんなで話していたが、点を取られた後はずるずると最後までいってしまった」と言葉少なに語った。
チーム全体で「狙い球を真っすぐに絞っていこう」と確認したという。だが相手投手の気迫が上回り「思うように打たされていた」と振り返った。「春、夏と勝てるチームになりたい」と悔しがりながらも顔を上げた。
(砂川博範)
▽1回戦
唐津商(佐賀)
000000010|1
000000000|0
興南(沖縄)
(唐)木本―松尾優
(興)田崎―仲本