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「ここからまた頑張りたい」気持ち新たに 30歳新入幕の美ノ海、目標は「幕内優勝」


「ここからまた頑張りたい」気持ち新たに 30歳新入幕の美ノ海、目標は「幕内優勝」 新入幕を果たした美ノ海=30日、福岡県福岡市の木瀬部屋宿舎(砂川博範撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 砂川 博範

 日本相撲協会は30日、大相撲九州場所(11月12日初日・福岡国際センター)の番付を発表し、ともに元高校横綱で22歳の北の若とロシア出身で24歳の狼雅、日大出身の美ノ海、東洋大出身の東白龍が新入幕を果たした。新入幕4人は2013年夏場所以来。

30歳新入幕、気持ち新た

 17年ぶり、戦後5人目となる県出身の幕内力士が誕生した。大相撲九州場所の番付発表で、美ノ海(30)=本名木崎信志、木瀬部屋、具志川中―鳥取城北高―日大出=が新入幕を果たした。県出身では2006年秋場所の、琉鵬以来となる。美ノ海は「すごくうれしい」と喜びを語った。

 16年の初土俵から7年半。決して早い出世とは言えないが、自分の足でしっかりと歩を進めてきた。新番付の確認後、沖縄の知人からも連絡を受け「『みんな喜んでいる。おめでとう』と言ってもらえた」と明かした。

 先場所は10勝5敗で自身初の2桁勝利だった。21年初場所で休場を経験した後は「早く番付を上げたい」という気持ちよりも、一日一日、相撲が取れることへの感謝の思いのほうが大きくなり、それから番付が安定し始めたという。「力まず、自分のやるべきことを毎日やっていた。いつも通りだったのがむしろ良かった」と実感を込めた。

 これまでの歩みを振り返り「30歳と遅めの新入幕。長かったという思いもありながら、ここからまた頑張りたい」と気持ちを新たにする。今後の目標は「幕内で一度は優勝すること」。どんな姿を見せたいかと問われると「『背が小さくてもできるんだぞ』というところを見せたい。真正面から戦っていける小兵の力士として、戦っていけたらいいな」と笑った。土俵に立ち続ける間は、挑戦をやめるつもりはないようだ。

 (砂川博範)


「少しずつ実を結んだ結果」

 新入幕を果たした美ノ海の一問一答は次の通り。

 ―今の心境は。

 「すごくうれしい。(沖縄の人も来てくれる)九州場所で決められたことが自分の中では大きい」

 ―入門からこれまでを振り返って。

 「30歳と遅めの新入幕だが、こつこつ積み上げてきたことが少しずつ実を結んだ結果だ。長かったという思いもある一方で、ここからまた頑張りたいという気持ちだ」

 ―先場所(秋場所)は2桁勝利を挙げた。

 「初めて10勝できた。力まず自分のやるべきことを毎日していたのが良かった」

 ―県出身では戦後5人目の入幕になる。

 「入門して7年半。これを機に、相撲に興味を持つ子どもたちが増えるきっかけとなればうれしい」

 ―自分の成長した点は。

 「相撲を大きく変えたということはない。ただ『速い相撲』を取ることを心掛けてきた。先場所では『疲れている時こそ前に出てみよう』と考えながら過ごしていた。それが結果として2桁勝利につながった」

 ―力士としての目標は。

 「幕内で一度は優勝したい。それが、いつかかなえられるよう頑張る。年齢のこともあるので番付の目標は定めていない」

 ―今後どんな姿を見せていきたいか。

 「背は小さいが、小さくてもできるんだぞと、逃げずに真正面から戦う小兵としての相撲を見せたい」

<プロフィル>

 美ノ海(ちゅらのうみ) 1993年5月6日生まれ。うるま市出身。178センチ、141キロ。美里小時代から叔父の木崎智久さんの智心館で相撲を始めた。中3で具志川中から鳥取西中に転校し、名門の鳥取城北高、日大を出た。2016年の春場所で初土俵を踏み、18年の名古屋場所で県勢5人目となる十両昇進を決めた。得意は左四つと寄り。小兵で動きは速く、前みつを引いての寄りが鋭い。弟で元十両の木崎伸之助さん(しこ名・木崎海、けがで20年に引退)とともに兄弟関取として話題を呼んだ。